オーストラリア南東部ビクトリア州の数十カ所で発生した森林や原野の大規模火災は延焼を続け、同州の警察当局は9日、死者が128人に達したことを明らかにした。約80人が入院し、うち9人は、やけどで重体。犠牲者はさらに増える恐れもある。消防当局によると、750を超える住宅や公共施設などが焼失、被害面積は東京都の約1・5倍となる30万ヘクタール以上に達した。
今回の人的被害は、同州などで75人が死亡した1983年2月の「灰の水曜日」と呼ばれる火災の規模を上回り、オーストラリアで過去最悪の森林・原野火災となった。警察は火災の一部に放火の疑いがあるとみている。
ラッド首相は8日、消火活動支援などのため陸軍の動員を命じ、州都メルボルン北方の被災地を視察。被災者支援に1000万豪ドル(約6億2000万円)を拠出すると発表した。首相は9日「復興には1、2年かかる」と語った。
死者には車で逃げる途中で炎に包まれたとみられる人も多い。建物の8割が焼失したメルボルン北東約50キロの町キングレークの被災者らは、ロイター通信に「火が弾丸のように迫ってきた」と恐怖の瞬間を語った。
火災は7日に本格化。火勢はその後、一部で衰えたが、9日午前の時点で約30カ所で燃え続けており、約4000人の消防隊員が消火に当たっている。鎮火には数日かかる見通し。
ビクトリア州は真夏を迎えた1月末から記録的猛暑を記録し、メルボルンの7日の気温は観測史上最高の46・4度。同国南部は例年、森林火災が多く、今年はここ数年の干ばつの影響による乾燥や強風も重なり被害が広がった。同州に隣接するニューサウスウェールズ州にも森林火災が広がっている。(共同)
(2009年2月9日13時03分 スポーツ報知)
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