日米両政府は、在沖縄米海兵隊グアム移転をめぐり新たに締結する協定に、二〇〇六年に合意した「ロードマップ(在日米軍再編行程表)の順守」を明記する方針を固めた。複数の政府筋が七日明らかにした。十六日から三日間の予定で来日するクリントン米国務長官と中曽根弘文外相が協定に署名、再編促進による同盟強化を演出する方向で調整中だ。政府は協定を踏まえ、沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市)移設作業も加速させる方針。
政府は「在沖縄海兵隊グアム移転協定」の承認案件を今国会に提出する予定。ロードマップ全体を「政治文書から条約と同レベルの合意に引き上げる」(外務省幹部)ことになり、米軍再編の着実な実施が法的にも求められる。
ただ、ロードマップには普天間飛行場の移設計画も記載。沖縄県など地元自治体側は、計画を変更し飛行場の滑走路をさらに沖合にするよう主張しており、ロードマップ通りの「一四年の移設完了」は難航必至だ。
協定はほかに、〇九年度から本格化するグアム移転事業で日本側が財政支出する二十八億ドル(上限)について(1)目的外の使用禁止(2)余剰金が出た場合は日米で扱いを協議—などを規定。「税金の無駄遣い」との批判回避を狙う。
政府は海兵隊グアム移転関連経費として〇九年度予算案に三百五十三億円を計上。予算案の成立に加え、協定承認案件も早期の承認を目指しているが、民主党などはグアム移転に関し「米軍住宅建設費が高額過ぎる」などと反発している。