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2009年02月08日(日) 02時34分

<中皮腫死亡>大阪の男性に「実態は労働者」認定 補償増額毎日新聞

 アスベスト(石綿)関連がんの中皮腫で死亡した大阪市淀川区の電気工の男性(当時58歳)の労災認定で、実態は雇われた労働者だったのに請負の一人親方(個人事業主)とみなされた結果、補償額が低額に抑制されていたことが分かった。遺族の不服申し立てに対し大阪労働者災害補償保険審査官は2月、実態は請負でなく直接雇用の労働者だったと認定し補償額は2.1倍に増えた。石綿の労災認定を巡って、請負が否定されたのが表面化したのは初めて。

 労災支援団体は「一種の偽装請負だ」と指摘。建設業では同様のケースがあるとして、実態調査が必要と主張している。

 男性は電気工として働き、71年から石綿関連作業に従事。91年ごろからは、大手ゼネコンなどの2次下請け会社(大阪市淀川区)の専属として働いた。遺族によると、このころから通常は労災保険の対象にならない一人親方とみなされた。1次下請け会社の勧めがあり、一人親方を対象とした政府による任意の労災保険「特別加入制度」に入った。

 男性は02年に中皮腫を発症し、03年に死亡した。02年当時、労災補償の計算の基礎となる日額(日給)は約1万2600円だった。

 大阪中央労働基準監督署は06年、男性が特別加入していたことから労働者ではなかったと判断。このため、特別加入で設定された日額6000円に基づき休業補償や遺族年金額を決定した。

 遺族は「実態は労働者」と審査請求した。

 審査官は、請負を装うものと遺族側が主張した「請求書」を検討。報酬は日額で計算され、残業により時間外割り増しの相当額を加算した記述もあり、労働者同様に時間を単位に計算されたと認定した。契約も専属で指揮命令を受け、勤務時間も管理されたと認定。通常の労災保険が適用される労働者だったとして、労基署の処分を取り消した。

 日額の修正で、既に支給された休業補償など約540万円が約1140万円になり、今後払われ続ける年金も約88万円が約185万円になった。【大島秀利】

 ▽全国労働安全衛生センター連絡会議の古谷杉郎事務局長の話 一種の偽装請負だ。雇う側に罪の意識がない場合もあり、建設業界にまん延し行政も実態を知りながら放置している。全国的な総点検が求められる。

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