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2009年02月08日(日) 02時30分

<沖縄戦不発弾>政府、被害に基金創設へ 「見舞金」支払い毎日新聞

 政府は7日、太平洋戦争の沖縄戦で使われた不発弾により沖縄県内で事故が発生した場合に、被害者に「見舞金」を支払うため、数億円規模の「不発弾等対策安全基金」を創設する方針を固めた。糸満市で1月に起きた不発弾爆発事故の被害者も対象にする。近く沖縄県と調整を始める。

 基金の財源には、毎年度予算計上されている沖縄特別振興対策調整費(08年度当初25.6億円)を充てる方針。政府は今回の対応を「沖縄に不発弾が多く埋没している特殊事情を踏まえた特別な措置」と位置付け、国内の他の戦争被害との線引きを図る。見舞金の額は検討中。糸満市より前の不発弾事故には適用しない方向だ。

 基金はまた、見舞金や被害施設の復旧支援のほか、不発弾情報のデータベース化による事前探査・発掘の迅速化など対策事業の拡充にも活用する考え。

 沖縄県内には、沖縄戦で使用された爆弾や砲弾のうち約3000トンが不発弾として残ると推定されている。県側が国による補償制度の整備を求めてきたのに対し、政府は、空襲など他の被害者への波及を恐れ「賠償責任を負わない」との立場を崩していない。ただ、麻生太郎首相は4日の衆院予算委員会で「国としてできることは何があるか、真剣に対策を検討するよう指示している」と述べていた。

 責任を認めない見舞金の恒常化は政府にとってぎりぎりの譲歩案とみられる。県側が容認するかどうかが焦点になる。不発弾事故では、1974年に那覇市で幼児ら4人が死亡したケースで、政府は見舞金を出している。

【田所柳子】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090208-00000005-mai-pol