2009年02月08日(日) 00時26分
ストリートビューに全国から規制求める声 プライバシー懸念拡大(産経新聞)
インターネットで地域画像を閲覧できる米グーグル社のサービス「ストリートビュー(SV)」を巡り、全国の議会や弁護士会などから中止や改善を求める声が相次いでいる。グーグル社は今後、サービスを始める地域への事前通知を検討。不動産業者が物件紹介に活用する例も増えているが、自宅が無断公開される事態に、「プライバシーの侵害」との懸念が拡大している。
都内で働く男性会社員(46)は昨年9月、SVで自宅を見て驚いた。ベランダの洗濯物が映っている。ここは私道に入らないと撮影できないはず。男性はメールで抗議し、約3週間後に削除された。
【フォト】革命的なSV…すぐに反発の声
昨年8月のSV開始以降、東京都には「規制が必要」、横浜市や札幌市には「個人情報保護法に抵触するのでは」などの苦情が寄せられている。特に、個人宅の表札や車のナンバーなどプライバシーにかかわる写真が問題視された。
グ社は「通行人の顔などには自動画像認識装置でぼかしを施したり、要請に応じて写真を削除するなどして対応している」と話す。しかし、パソコンを持っていない高齢者や、削除方法を知らない人は対応できないとの意見がある。
こうした実態に、福岡県弁護士会は「多数の市民の肖像を根こそぎ撮影し、事前に撮影の説明がない」とプライバシー権の侵害に当たるとしてグ社に中止を求めた。新潟県弁護士会もプライバシーの侵害をなくすよう要請。東京都町田市議会や奈良県生駒市議会なども国に規制を要望した。
国会でも昨年11月の衆院総務委員会で自民党議員が「犯罪者にとって素晴らしいツールだ」と批判。防犯上問題があるとしている。
今月3日の東京都情報公開・個人情報保護審議会でグ社は、新しい地域でサービスを開始する場合、該当する都道府県への事前通知を検討すると表明した。
個人情報保護に詳しい安冨潔・慶応大教授は「SVの情報はプライバシーを侵害し、犯罪を誘発する可能性がある。グ社は被写体に了承を得てからネット公開すべきだ」と話している。
■ストリートビュー ネット検索大手、米グーグル社の地図検索サービス「グーグルマップ」の付加機能。平成19年5月に米国でサービスを始め、日本では20年8月5日から東京や大阪、京都、神戸など12都市を対象に開始した。地図の道路をクリックすると、その道路を車で通行しながら撮影したとみられる高さ2.5メートルからの360度パノラマ写真を無料で見ることができる。
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