【イスラマバード7日共同】パキスタンのムシャラフ前大統領は七日、首都近郊ラワルピンディの旧大統領公邸で共同通信の単独会見に応じ、同国からの核拡散問題について「唯一の被爆国である日本政府に対し、聞かれればすべてを話す義務がある」と表明した。また、核拡散を主導したとして在任中に軟禁下に置いた科学者カーン博士が六日に軟禁を解除されたことについては「彼が拡散した明確な証拠がある」と述べ、博士の「個人的な犯行」との見方を強調した。
昨年八月の辞任以降、ムシャラフ氏が会見に応じるのは極めて異例。核拡散の詳細を明らかにしてこなかったムシャラフ氏が今後、日本政府に対し核拡散の経緯などを説明する可能性を示唆した。ただ実際に何を明らかにするかについては言及を避けており、実態解明にはなお時間がかかりそうだ。
核関連技術や資機材を北朝鮮やイランに拡散させたとして二〇〇四年に軟禁下に置かれたカーン博士は軍の核拡散への関与を指摘しており、ムシャラフ氏は「彼はうそつきだ」と強く非難。軟禁解除後も双方の主張は食い違っている。
在任中に進めた核ミサイルや核施設開発については「他国の支援はもう必要ない」と表明、現在は自力開発が可能になったことを明らかにした。カーン博士は昨年、共同通信に対し、一九七〇〜八〇年代に日本やドイツなどから核兵器開発に必要な「重要な部品」を入手したと証言していた。
また、昨年十一月のムンバイ同時テロ以降、緊張が高まっているインドを来月、訪問する意向を表明。インド側首脳と会談する用意があることを明らかにした。
ムシャラフ氏は一九九九年に軍事クーデターで実権を握り、二〇〇一年に大統領に就任。〇八年二月の総選挙で与党が惨敗し、同年八月、辞任した。