大阪市天王寺区の市立天王寺動物園で7日、ゾウを飼育している敷地の池の中に男性の変死体が見つかった。開園前の点検中に男性飼育員(40)が発見し、110番通報した。争った形跡や遺体の外傷はなかったが、なぞの残る状況のため、この日、ゾウの観覧ゾーンは終日閉鎖。週末でにぎわう動物園の中で、ひっそりと静まりかえった。
週末ののどかな動物園に、ショックが走った。変死体が見つかったのは、開園を20分後に控えた午前9時10分だった。ゾウを飼育舎から開放する前に、飼育員が敷地を点検していたところ、池の中に人間の姿を見つけた。
大阪府警天王寺署の調べによると、男性は60歳ぐらいで身長約170センチ。深さ2メートルの池に、頭が上、足が下の、立ったような姿勢で入っており、頭頂部まで完全に沈んでいた。同署は身元確認を急いでいる。
男性は白のセーターに薄緑色のジャンパーを身につけ、濃紺のズボンと黒の革靴を履いていた。動物園と隣接する天王寺公園は、その敷地周辺で多数のホームレスが野宿生活しているが、遺体で見つかった男性はホームレスのような雰囲気はないという。
男性は現金9万3000円と、銀行の預金通帳を所持していた。通帳の名義は男性だが、遺体の男性のものかどうかは判明していない。
動物園は前日の6日は午後5時に閉園。ゾウはその1時間前に飼育舎に入れられるため「ゾウが襲ったなどの可能性はない」と同園関係者。「男性が、園内のどこかに隠れていた可能性はある」というが、常駐警備員による夜間の定時巡回、さらに赤外線センサーによる点検でも異常は見られなかった。
現場周辺に血痕など争った形跡はなく、遺体に目立った外傷もない。天王寺署は事件性は低いとみているが、万全を期すため司法解剖も検討している。
ゾウが飼育されている区画は「アジアの熱帯雨林ゾーン」と呼ばれ、野生に近い形でゾウが見られることが売り物になっている。60歳と38歳のメスが2頭いるが、遺体発見を受けてこの日は飼育舎からの開放を中止した。園内は週末で小さい子どもの姿も目立ったが、不可解な遺体発見によりゾウのエリアは柵を設けて閉鎖されたままだった。
池の水を入れ替え、8日にはゾウの展示が再開される予定だ。
(2009年2月8日06時01分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090208-OHT1T00059.htm