島根県川本町が町営の複合施設「かわもと音戯(おとぎ)館」のホテル・食堂部門を3月末で休止する方針を示している問題で、休止まで2カ月を切った今も町と委託業者の調整が付いていない。4月以降の予約受け付けは続くなど混迷が深まっている。町内からは「観光振興に逆行する」などと町の方針を疑問視する声も出ている。
「家賃は毎年度、出納期限までには払い、補助金なしで黒字経営している。なぜ退去を迫られるのか」。1998年の開館以降、ホテル・食堂部門を担ってきた町内の業者は納得いかない表情だ。
休止方針は町が昨年秋、2012年度に基金残高が底をつくとの財政推計に基づき町有施設の運営を再検討する中で浮上した。音戯館は、温水プール部門が年間2000万円近い赤字のため、ホテル・食堂と一体で安い委託料で運営する団体を新年度に公募する計画だ。
ただ、ホテル・食堂部門からは年間約320万円の家賃が町に入り、町負担は修繕費だけ。所管する町教委は退去を求める理由を「プールの赤字軽減に向け木質系のボイラーに変える構想があり、工事中はホテルへの給湯も止まる。区切りの良い年度末で契約を打ち切りたい」(森口正和教育課長)と説明するにとどまる。
調整が難航する一方で予約は既に8月分まで入っているという。