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2009年02月07日(土) 19時32分

首相、領土問題最終解決へ交渉 改めて表明産経新聞

 麻生太郎首相は「北方領土の日」である7日、東京都千代田区の九段会館で開かれた北方領土返還要求全国大会であいさつし、「領土問題の最終解決に向けて進展が得られるよう、引き続き強い意思をもって交渉していく」との決意を表明した。今月18日にロシア極東のサハリン州での開催を調整しているメドベージェフ大統領との首脳会談をきっかけに、領土問題の進展を図りたい考えだ。

【フォト】懸案を話し合ういいチャンス

 大会あいさつで、首相は「大統領は領土問題解決に向けた強い意志を表明している」と強調した。先月28日の施政方針演説でも、領土問題の「最終的解決」に言及し、自らの手で決着させたい思いをにじませた。

 ロシア側は極東・東シベリアの開発に日本との関係構築を図る姿勢をみせている。エネルギー価格の急落がロシア経済の基盤を直撃していることも、対日姿勢を変える要因となる。ロシアは、その障害となる領土問題の解決を急ぎたいはずだという読みが、首相の意欲の背景にあるようだ。

 メドベージェフ大統領は(1)次世代に委ねない(2)双方が受け入れ可能な解決策(3)双方が極端な立場から離れる−を踏まえた領土問題の解決を掲げ、昨年12月と先月には、プーチン首相の側近とされるナルイシュキン大統領府長官とミロノフ連邦院(上院)議長が相次いで来日した。

 首相はこうしたロシア側の姿勢を前向きにとらえ、同国を「アジア太平洋地域における重要なパートナー」と位置付けている。

 ただ、実際の領土交渉を考えると課題は多い。

 首相は外相時代の平成18年に国後、歯舞、色丹の「3島返還論」のほか、面積による等分を考えた択捉島の25%と残り3島による「2等分論」に言及したことがある。

 政府はいずれも公式見解ではないとし、首相も7日の大会では「北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結するとの基本方針」に従って交渉する考えを示した。ただ、今後の交渉で首相が言及した2論が再浮上すれば、国論が割れる事態も懸念される。

 「ロシア政府には領土問題解決に前向きな外務省と、『強いロシア』を目指す旧国家保安委員会(KGB)らとの綱引きがある」(日本外務省筋)との見方も出ている。今年初めに予定されていたプーチン首相の訪日がいまだ実現しないことも、ロシア側の本心を不透明にさせている。

 サハリンでの首脳会談開催についての異論もある。日本は戦後、サハリン(樺太)を放棄したが、ロシアに帰属するとは認めてこなかったためだ。歴史認識として首相は自身のサハリン訪問をどう位置付けるのか。大統領がサハリンに招いたねらいを、さらに分析すべきだとの指摘もある。

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