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2009年02月07日(土) 18時54分

<比ミンダナオ島>戦闘激化半年、交渉再開のめど立たず毎日新聞

 【マニラ矢野純一】フィリピン南部ミンダナオ島で、反政府勢力「モロ・イスラム解放戦線」(MILF)と国軍側の戦闘が昨年8月に激化し、和平交渉が中断して半年が過ぎた。住民約30万人が自宅を追われ避難生活を強いられる状況が続き、比政府は日本など国際社会に対し、交渉再開への支援を強く呼びかける。だが、MILFや仲介役のマレーシアには比政府への不信が根強く、交渉再開のめども立たないままだ。

 「国際停戦監視団に参加するマレーシア、ブルネイ、日本、リビアのほか、欧州連合(EU)や米国に和平への支援を期待している」。アロヨ大統領は1月26日、具体的な国名を挙げて、和平交渉への協力を求めた。各国は停戦を呼びかけていたが、それ以上の動きは出ていない。

 MILFと政府は昨年8月まで5年間かけて、和平合意の覚書を練り上げた。しかし土壇場になって最高裁が覚書を違憲と判断したため交渉が振り出しに戻り、国軍とMILFの一部部隊の戦闘が再燃した。

 交渉を仲介するマレーシアは交渉難航に業を煮やし11月末、停戦監視団の全メンバーを引き揚げた。比政府はMILFとの接触を試みるが、「仲介国を通すのが筋」と門前払いを食らっている。

 国軍関係者は「和平実現を退陣の花道とする筋書きが崩れかけているため、アロヨ大統領は危機感を募らせている」と説明する。大統領は10年6月までの任期中の和平構築を公約に掲げるが、MILFは、一度は双方が合意した覚書を最高裁がひっくり返したことに強い不信感を抱いており、大統領の任期中の和平合意は困難になったとの見方が強い。

 政府への不信感は現地のNGOにも広がる。避難民への支援を行う「ミンダナオ民衆幹部会」のサリさんは「この半年間、状況は全く変わっていない。アロヨ政権に何かを期待するのは幻想だ」と語った。

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