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2009年02月07日(土) 18時49分

ミャンマー難民ロヒンギャ、周辺各国が対応に苦慮 放置もできず産経新聞

 【シンガポール=宮野弘之】ミャンマーの少数民族ロヒンギャの難民の扱いをめぐり、インドネシアなど周辺各国が対応に苦慮している。タイ海軍は昨年12月、ロヒンギャ難民が乗り込んだ船を救出せず公海に置き去りにしたとして、国際社会の非難を浴びた。一部難民を保護したインドネシア政府は6日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の係官が難民と面談することは認めたが、大量流入を警戒して自国では受け入れない構えだ。

 インドネシア当局は1月7日、アチェ沿岸を漂流していた193人のロヒンギャ難民を保護したほか、3日にも198人が乗った船を漁師が発見した。198人はいずれも男性。3週間近く漂流し、1週間前には食料も尽きていたという。

 難民らはこれまでのインドネシア海軍の調べで、ミャンマーから船でタイに向かったもののタイ海軍に捕まり、虐待された後、船ごと沖合に連れて行かれ、放置されたと証言している。

 タイのアピシット首相は「ロヒンギャを虐待した証拠はなく、公海上に放置したこともない」などと否定したが、タイ政府としては、今後もロヒンギャを受け入れる考えはない。

 ロヒンギャは、バングラデシュと国境を接するミャンマー西部のラカイン州に住むイスラム系少数民族で、人口は約72万人とされる。

 しかし、仏教徒が多数のミャンマーの軍政は、彼らを国民と認めずパスポートも与えていない。「最も迫害されている民族」とさえいわれるほどで、1992年には25万人が軍政による弾圧を恐れ、バングラデシュに逃れたこともある。

 このため、彼らはバングラデシュ経由で中東諸国に行くほか、タイ経由でマレーシアに向かい、建設労働者などの仕事に就いている例が多いという。マレーシア国内には約2万人のロヒンギャがおり、その半数は不法滞在といわれる。

 ただ、最近の経済危機で各国がこうした出稼ぎ労働者の不法入国に厳しい態度を取り始めたことに加え、ミャンマー軍政がロヒンギャに対する圧力を強めていることが、最近の大量脱出につながっているようだ。

 アピシット首相はこの問題を、2月下旬にタイで開く東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で協議するとしているが、ミャンマー軍事政権の説得だけでなく、各国による大量の難民受け入れもかなわず、結論を出すのは難しそうだ。

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