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2009年02月07日(土) 15時50分

「円天」使用店も損失 バザー出店、換金できず 波容疑者ら送検産経新聞

 組織的詐欺事件で幹部が逮捕された健康寝具販売会社「エル・アンド・ジー」(L&G)主催のバザーなどで使われた疑似通貨「円天」が、L&Gの破綻(はたん)で換金されず、商品を販売した店側にも多額の損失が出ている。警視庁などの特別捜査本部が認定した被害に含まれておらず、全体の被害把握もできていない状況だ。

 特捜本部は7日、組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで、同社会長の波和二(かずつぎ)容疑者(75)らを送検した。L&G事件での被害実態解明を進める。

 特捜本部によると、L&Gは年利36%をうたった「協力金」などの名目で、会員から約1260億円を集めた。こうした会員のほかに大きな被害を受けたのは、円天で商品を販売した1000店以上に上る「円天加盟店」だ。

 東京都内で宝石店を経営する女性(69)は平成18年、L&G側から「円天加盟店になってほしい」と言われ、東京・銀座の常設市場に出店した。店では売れ行きが鈍い宝石が、この市場ではすぐに売れた。

 1年半での売り上げは9300万円天。円天はポイントの25%で換金される約束で、約2300万円が手に入るはずだったが、L&Gの破綻で600万円ほどしか回収できなかった。

 「仕入れ先から『こんなに注文して大丈夫か』と心配されていたのに。宝石はプレゼントしたようなもの」。1年間、夫と酒を飲んでふさぎ込む日が続いた。この女性は「出店業者の中には自殺した人もいると聞いている。強盗に入られたと思ってあきらめるしかない」と話していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090207-00000104-san-soci