民主党が政府予算に盛り込まれた「霞が関の埋蔵金」と呼ばれる特別会計積立金の流用にいら立ちを強めている。
次期衆院選のマニフェスト(政権公約)で掲げる農家の戸別所得補償や子ども手当新設、高速道路無料化など年間約二十兆円の経費のうち、約六兆五千億円を「埋蔵金」から調達する方針。一方、政府の二〇〇八年度第二次補正予算と〇九年度予算案は、財政投融資特別会計の積立金だけで八兆円以上を充てており、民主党にとっては財源見直しが避けられない情勢だ。
民主党の細野豪志政調副会長は六日の衆院予算委員会で、〇七年に自民党の財政改革研究会が民主党の積立金活用論を「根拠のない埋蔵金伝説」と批判したことに触れ「今や民主党のプランより多くの埋蔵金を使っている」と流用に歯止めをかけるよう求めた。
直嶋正行政調会長はマニフェストの財源に関し「さまざまな制度を見直せば、まだお金は出てくる」と強調するが、主要政策の財源は「ギリギリの計算」(幹部)で収支を合わせてきたのも事実だ。有力視していた外国為替資金特別会計の積立金も最近の円高で枯渇したとみられ、景気悪化による税収の大幅減が見込まれる中で新たな財源を探すのは容易ではない。
党内には「不況期に赤字国債を発行し、政策効果による税収増で借金を返すのは財政の基本」(中堅)と一時的な赤字拡大を容認する声があるが、財政健全化は民主党の旗印の一つでもある。
政調幹部は「最後は別の埋蔵金に手を付けるしかない」としており、次期衆院選をにらんで追加経済対策を検討する与党との「埋蔵金発掘競争」が激化しそうだ。