パイオニアが主力事業の一つである薄型テレビ事業から撤退する方向で検討に入ったことが七日、分かった。プラズマテレビを中心に生産しているが、他社との競争激化で不採算となっている上、世界的な景気後退に伴う需要低迷も重なり、主力事業といえども撤退はやむを得ない、との判断に傾いたようだ。
今後は車載AV(音響・映像)機器事業に経営資源を集中し、生き残りを目指す。今月中にまとめる中期経営計画に盛り込む見通し。
電機メーカー各社の業績は急速に悪化しており、経営改善へ今後、不採算事業の縮小、撤退が加速しそうだ。
パイオニアは二〇〇九年三月期の連結決算で営業損益が百七十億円の赤字に、純損益が七百八十億円の赤字にそれぞれ陥ると予想。薄型テレビなどのホームエレクトロニクス部門は二百七十億円の営業損失を見込む。
テレビ事業を立て直すため、〇八年三月にプラズマテレビ用のパネル生産から撤退し、パナソニックに生産を委託することを表明。〇七年九月にはシャープとの資本・業務提携に合意し、現在シャープから液晶パネルの供給を受け、欧州向けに液晶テレビを販売している。
しかし、景気悪化でテレビ事業が好転する兆しは見えず、このままでは赤字拡大に歯止めがかからないと判断しているようだ。