2009年02月07日(土) 21時30分
<北方領土>出入国カード巡り交渉停滞 ビザなし交流に暗雲(毎日新聞)
北方四島への日本の支援団にロシアが出入国カード提出を求めた問題をめぐる外交交渉が足踏み状態に陥っている。日本政府は「カード提出は四島をロシア領と認めることになる」と要求を突っぱね、ロシアにも現時点で軟化の空気はない。92年に始まった「ビザなし交流」は、中断の恐れも出ている。
「領土返還まで四島交流がこれまでと同じ手続きで継続されることを強く求める」
7日、北方領土返還要求全国大会が東京都内で開かれ、この特別宣言が読み上げられると、元島民ら約1000人の出席者が拍手で採択した。大会では冒頭、麻生太郎首相もあいさつした。
身分証明書などの提示で四島を往来するビザなし交流。92〜07年度に延べ約1万5000人(日露両国)が行き来したが、ロシアは1月27日、国後島沖で日本の支援団に出入国カード提出を迫った。
北方領土を固有の領土とする日本の立場は四島渡航は「出入国」でなく「出入域」。支援団7人を乗せた船は医療物資を積んだまま北海道根室港に戻った。「一度でもカードにサインしたら、ロシアは『日本が四島をロシア領と認めた証拠』と主張してくる」。外務省幹部は警戒する。
日本政府は当初、早期決着を予想していた。船が出港する直前の23日、ロシア外務省は「出入国カードが必要」と伝達してきたが、同じ日、在日ロシア大使館は「訪問に異存はない」と通知してきていた。交流には実績もあり「ロシア内部のボタンの掛け違い」と見ていたからだ。
ところがロシア側は28日、06年の国内法改正を盾にカード提出を「国内法の要請」とする声明を発表し、対立が続く。ビザなしによる日本側の次回訪問予定は5月。麻生首相は18日のメドベージェフ大統領との会談実現に意欲を示すが、「首脳会談で提起してもらわざるを得ない」との声も上がっている。【川上克己】
■ビザなし交流の経緯■
91年 日ソ外相がビザなし交流に合意。対象は元島民や返還運動・報道関係者
92年 ビザなし交流が4月から始まる
94年 北海道東方沖地震発生、四島も被害。ビザなし交流の対象に緊急人道追加
98年 対象を一般的な緊急人道支援に拡大
99年 元島民と家族の訪問手続きを簡素化した「自由訪問」始まる
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