2009年02月07日(土) 21時04分
<ミュンヘン会議>米副大統領演説 「協力と協調」よびかけ(毎日新聞)
【ミュンヘン(独南部)小谷守彦】バイデン米副大統領は7日、ミュンヘンでの安保政策会議で演説した。オバマ政権発足後、首脳級が国際会議に出席するのは初めてで、オバマ外交が本格スタートした。副大統領はテロの脅威や金融危機、地球温暖化など共通の課題に対処するため「あなたの助けが必要だ」と欧州など各国の協力と協調を求めた。一方、イランの脅威を挙げ東欧ミサイル防衛(MD)計画継続を強調するなど、強い外交姿勢にこだわりも見せた。
副大統領は「米国は(世界に)関与し、その声を聞き、相談する。世界が米国を必要としているように米国は世界を必要としている」と述べ、イラク戦争開戦をはじめとしたブッシュ前政権の単独行動主義から脱却、協調と責任分担を重視する外交への転換を鮮明にした。
その一方「米国はより行動するが、パートナーにもより多くを求める」「脅威には一国だけでは対処できない」とアフガニスタンへの軍事・復興支援を念頭に各国に責任分担も求めた。
対話路線も強調し、「イランとの直接対話を望む」「核開発を放棄すれば報奨がある」と呼びかけた。
ただ、「軍事力が我々の自由を守ってきた。これは不変だ」と述べ、軍事力行使も排除しない姿勢を明確にした。東欧のMD計画については効果的であるという前提付きで「イランのミサイル能力増強に対抗するため」継続を表明した。これに反発するロシアに配慮し、「ロシアと協議する」と述べた。
米露間で滞ってきた核兵器削減交渉について「米露で削減のイニシアチブを取らなければならない」と交渉再開への意欲を示した。
会議には浜田靖一防衛相が初めて出席、駐日米大使に有力視されるジョセフ・ナイ元国防次官補と会談する。
◇7日のミュンヘン安保政策会議での、バイデン米副大統領演説要旨は以下の通り。
オバマ新政権は、他国との新しい基調の構築を望む。過激主義に対し、共通の枠組みでの協力継続を追求していく。私たち米国には、あなたたちの助けが必要だ。キューバ・グアンタナモの(テロ容疑者)収容所の拘束者受け入れを、他国にもお願いしたい。
米国はイランとの直接対話を望んでおり、その用意がある。イランは圧力、孤立を選ぶのか。核開発を放棄し、テロ支援を中止すれば、意味ある報奨があるだろう。
私たちは気候変動に対し、積極的にリードしていく用意がある。
北大西洋条約機構(NATO)とロシアの間に横たわる危険なわだかまりを捨てるために、リセットボタンを押す時だ。もちろん、ロシアの勢力圏拡大など、全てを容認することはしない。MD(ミサイル防衛)についても、ロシアとNATO加盟国との同意の上で決定されるだろう。大幅な核軍縮も目指す。NATOもロシアも、国際テロ組織アルカイダやアフガニスタンの旧支配勢力タリバンを打倒するため、協力していくべきだ。
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