2009年02月07日(土) 19時44分
グアンタナモ閉鎖へ世論対策?オバマ大統領がテロ遺族と面会(読売新聞)
【ワシントン=黒瀬悦成】オバマ米大統領は6日、2000年にイエメンで起きた米駆逐艦コール爆破テロや、01年の米同時テロの犠牲者の遺族約40人とホワイトハウスで面会した。
テロ被害者の遺族や保守勢力の間では、テロ容疑者が収監されているキューバ・グアンタナモ米海軍基地の収容施設の閉鎖方針に反発する声が出ており、大統領は遺族感情への配慮が政権の対テロ政策への支持に不可欠と判断したとみられる。
ホワイトハウスによると、大統領は約1時間にわたった面会で、「大統領として最も重要な責任は、米国民の安全を守り続けることだ」と述べた上で、グアンタナモの収容施設の閉鎖が「米国を安全にし、法的枠組みの中で犯罪者を迅速かつ適切に裁き、米国が一層効果的にテロと戦うことにつながる」と説明した。
面会後、遺族からは、大統領の方針に理解を示す意見が出る一方、大統領がグアンタナモ基地内の特別軍事法廷の審理を停止したことに対する不満の声が上がった。
さらに、米政府が面会に先立つ5日、コール爆破テロの首謀者として審理中だったアブド・ラヒム・ナシリ被告の訴追自体を取り下げたことには、遺族が失望感を表明した。
大統領が軍事法廷の審理停止を要請したのに対し、同法廷の判事がこの被告には「迅速な裁判が必要」として拒否したのを受けた措置だが、遺族には、施設閉鎖でテロ容疑者が釈放される展開を予見させる事態となった。
世論調査でも閉鎖「反対」が「賛成」を上回る結果が出ている。また、テロ容疑者を、通常の刑事裁判や軍法会議にかけるためには、法的な問題も多い。
大統領は、世論の支持と法治主義、それに治安を確保するため、難しい選択を迫られている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090207-00000055-yom-int