ヨン様の物まねなどで知られるお笑い芸人・スマイリーキクチ(37)のブログに、本人が殺人事件の犯人であるかのような書き込みをしたとして、警視庁中野署は5日までに、17〜45歳の男女計18人を名誉棄損の疑いで書類送検する方針を固めた。また、別の1人が既に脅迫容疑で送検されている。
スマイリーさんのブログに、脅しや中傷を書き込んだとされる19人全員が「犯罪になるとは思わなかった」と供述したという。ネット社会では匿名性に隠れる形で、犯罪性の認識が薄いことが浮き彫りになった。
「正義感のつもりだった」。脅迫容疑で書類送検された川崎市の会社員の女は、ネット上でスマイリーさんが事件に関与したかのような書き込みを発見。「許せない」と思い、ブログのコメント欄に「殺してやる」と書き込んだという。
昨年、韓国では国民的人気女優の崔真実さん(当時39歳)が、ネットで「金貸し」などとの中傷を受けて自殺したとされる。これを機に、書き込みの実名義務化などの法整備を検討する事態にまで発展した。
IT分野に詳しいジャーナリストの佐々木俊尚さんは「ネットの世界では、他者の批判に乗っかってしまう人が多い。日本でも抑止力になるような規制が必要では」と警鐘を鳴らしている。
炎上を防ぐ自衛策はあるのだろうか。ITジャーナリストの井上トシユキさんは「極端な表現や差別的表現、エキセントリックな内容を避けるべき。1人でブログを書いていると錯覚を起こしやすいのだが、常に見知らぬ人の前で大声でしゃべっているつもりで書かなくてはいけない」と指摘する。
技術的には非難、中傷があった送り先に対して、アクセス制限をかけることも可能だが「やりすぎると『一方通行で議論に応じないブログ』という印象を与え、かえって炎上を誘発する要因になりかねない」(井上氏)ので注意が必要だ。
(2009年2月6日06時01分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090206-OHT1T00068.htm