2009年02月05日(木) 03時00分
<インフル>増殖酵素の構造解明 仏チーム、万能薬に道(毎日新聞)
インフルエンザウイルスが人の体内で増殖する時に働く酵素の立体構造を、フランスの研究チームが解明した。インフルエンザウイルスは型を変える(変異)ことが知られるが、この酵素の構造はすべての型に共通で、新型インフルエンザにも効果を発揮する「万能抗ウイルス薬」の開発につながると期待される。5日発行の英科学誌ネイチャーに掲載された。
インフルエンザウイルスは増殖する際、「RNAポリメラーゼ」と呼ばれる酵素を使う。その際、人の遺伝子の先端部分を切り取り自分の遺伝子に結合させる「キャップスナッチング」と呼ばれる作用が起きる。
仏国立ジョセフ・フーリエ大などの研究チームは、RNAポリメラーゼを構成する三つの部分のうち、キャップスナッチングをつかさどる部分を詳しく調べ、三次元で構造を解明。キャップスナッチングの結合部分も特定できた。この結合部分をブロックする薬を開発すれば、増殖を抑えられる。
これまで開発されている抗インフルエンザ薬は、増殖したウイルスの表面に表れる特徴的なたんぱく質に働きかけるもので、変異によって型が変わると効果がなくなることが課題だった。今回の成果は増殖自体を抑える薬の開発につながるという。【関東晋慈】
原好勇(こうゆう)久留米大講師(ウイルス学)の話 酵素の働きを標的にした薬はヘルペスウイルスなどで実用化されているが、インフルエンザウイルスの酵素は機能も構造も複雑で研究が遅れていた。新型インフルエンザの出現に十分対応できる重要な成果だ。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090205-00000014-mai-soci