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2009年02月05日(木) 00時40分

あるのか4月の衆院選? 自民党各派はパーティーラッシュ産経新聞

 平成21年度予算が成立すれば、4月に衆院選はあるのか。解散は永田町の最大の関心事だけに、与野党ともさまざまな憶測が飛び交い、神経戦は続く−。

 ■「大宏池会」会合にも飛ぶ憶測

 自民党各派閥の政治資金パーティーの日程が出そろった。大半が4月上旬で、衆院選に備えて早めに「兵糧」を蓄えて臨戦態勢を整えるねらいがある。ただ、麻生太郎首相を擁する麻生派は、予定した4月16日の開催を見送る方針だ。パーティーを開くまでは「解散はできない」と永田町では見られがち。解散権のフリーハンドを確保したい首相側が警戒し、日程を外した格好だ。古賀、麻生両派の合流論が再燃する中、「合同パーティーをにらんだもの」との観測もあり、目が離せない。

 町村、古賀、伊吹、二階の4派は昨年より1カ月ほど前倒しの開催となる。「ただでさえ厳しい選挙。資金もなくてはとても戦えない」(中堅)という台所事情からだ。

 政治資金パーティーは民主党なども開いているが、自民党の派閥では、年に1度の政治資金パーティーが資金集めの柱として定着している。町村、津島両派など大派閥の年間総収入は5億〜6億円ある。このうちパーティー収入が半分程度を占める。「選挙の年」は支出が特にかさむため、パーティーは重要だ。

 自民党各派の4月のパーティー・ラッシュを受け、政界で取りざたされたのが大安の「4月26日」投票説だった。その場合、公示日は4月14日となる。

 だが、麻生派がいったん予定した4月16日が「公示後」に相当するため、「総裁派閥が公示予定日後にパーティーを開くはずがない」などの憶測が飛び、党内で「4・26」説は下火になった。ただ、パーティー時期を材料に「4月説」が消えると、首相の解散権が狭まるのも事実。そのため麻生派がパーティー開催を見送り、「4・26」説が再びくすぶるようになった。

 古賀、麻生両派の幹部は4日夜、都内の中華料理店で会合を開催した。もともと故池田勇人元首相が創設した派閥「宏池会」の流れをくむだけに、両派の合流論が再燃。会合では麻生政権を支えていくことで一致した。参加者は「いい方向に行くきっかけができた」などと語った。麻生派パーティーの見送りも、合流後の「お披露目パーティーのため」ともささやかれる。

 パーティーをめぐる神経戦とは裏腹に、1枚2万円が多いパーティー券を支持者らに買ってもらう立場の自民党議員からは悲鳴が漏れる。長引く不況で、支持者らの財布のヒモはかたい。各派の開催が集中したことも手伝って、売りさばきにくい状況だからだ。

 しかも「民主党政権の可能性を視野に入れ、企業は(自民党への)パーティー券の購入や政治献金を抑えるなど民主党に軸足を移しかねない」(参院中堅)との懸念もある。(大谷次郎)

 ■4月に照準、予算に興味失う小沢代表

 早期解散に追い込みたい民主党の小沢一郎代表は、「4月の衆院選」にたびたび言及している。楽観ムードが漂う党内を引き締めるとともに「予算が成立すれば、与党内で早期解散派と先送り派が争い始める」(小沢氏周辺)との判断があるようだ。そのために、審議の引き延ばしはせず、平成21年度予算案の年度内成立も容認する構えだ。すでに国会の予算審議の中身にはほとんど関心がないという。

 小沢氏は4日、社民党の又市征治副党首と会談し「遅くとも4月上旬までに解散に追い込まなければならない」との認識で一致した。野党では「大安の4月26日が投票日」という日程も一人歩きしている。

 小沢氏は衆院予算委の動向に興味がないようだ。3日朝の党役員会では、予算委に出席した菅直人代表代行が姿を見せないことにも気付かず、隣席の鳩山由紀夫幹事長から「菅代行は予算委に出席しています」と耳打ちされると、「あー。そうか、そうか」と自分の肩を叩(たた)いてみせただけだった。

 同日の役員会では、参院で審議中の定額給付金に関する関連法案で「審議引き延ばし」はしない方針を確認した。定額給付金論争に幕を引きかねない決断だが、小沢氏はそれにも関心を示さず、面倒臭そうにうつむいたままだった。出席者の一人は「小沢氏は予算案にまったく関心がない」とこぼした。

 小沢氏は1月31日の集会で「麻生内閣は予算審議があるので辛うじて政権を維持している。遅くても予算が成立した3月解散、4月総選挙で間違いない」とぶち上げている。あえて予算の早期成立を容認し、論戦の空白をつくることで、麻生政権を解散に引きずり込むシナリオだ。

 もちろん党内には「内閣支持率が回復しない限り首相は解散しない」(中堅)との見方も強い。小沢氏は最近、「与党議員も衆院選に向け走っている。解散せずに5月の連休は越せない。オレは民主党の緊張感を保つために抜き打ち行脚をしているんだ」と周囲に語ったが、早期解散へ展望が開けているわけではなさそうだ。(斉藤太郎)

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