2009年02月05日(木) 00時40分
もめる自民、今度は「減反」 農政改革に批判続出(産経新聞)
麻生内閣が進めようとする農政改革に自民党が警戒と反発を強めている。問題はコメの生産調整(減反)政策。石破茂農水相が3日、生産調整に参加するかどうかを各農家に委ねる「選択制」導入を検討したいと表明したが、自民党はすでに別の生産調整策を打ち出しており批判が噴出した。背景には「政府がコメの価格形成にどこまで関与するか」という農政の基本対立があり、麻生太郎首相は、消費税に次ぐ新たな火種を党内に作った格好だ。(今堀守通、峯匡孝)
「これから衆院選というときに、農政のトップは慎重にやってもらわないと困る。農民の反応を大事にしていただきたい」
4日に開かれた自民党農業基本政策委員会(西川公也委員長)では、石破氏への批判が相次いだ。政府側の近藤基彦農水副大臣ですら「表舞台で議論されたことが一度もない。たたき台になるのを阻止したい」と決意を示す場面もあった。
導入が検討される「選択制」は、減反に参加した生産者に、米価が下落した際に所得補償する。不参加なら生産の上限がなく自由に増産できるが、下落時の補償はない。参加者が少なければ、供給過剰で米価が暴落し、コメの安定供給に影響する可能性もある。
自民党は昨年、世界的な食料価格高騰などへの対応として、パンの原料にもなるコメ粉や家畜用の飼料米の生産を増やし、農家に支援措置を講じる法案(コメ粉・エサ米法案)を策定、2月中に国会提出する段取りだ。だが、あくまでも現行の減反を前提に食料自給率の向上を狙った施策で、石破プランで「せっかくの法案がつぶされた格好」(農林関係議員)となったわけだ。
選択制は小泉内閣時にも検討されたが、当時で5000億円程度の経費を財務省が拒否した経緯がある。また選択制は民主党が掲げる「農業者戸別所得補償制度」と重なってみえるため批判を受けている。
一方、麻生首相は1月28日の施政方針演説で「農業に潮目の変化が訪れている。発想を転換し、すべての政策を見直す」と農政改革に強い意欲を表明した。
石破氏は、昨年の経済財政諮問会議で、食料自給率(カロリーベース)の50%実現や世界貿易機関(WTO)交渉の行方を考えると、農地面積と農業者の減少傾向を食い止めることが必要だと強調している。
1月27日には石破氏ら関係6閣僚による農政改革会合も発足。諮問会議も石破氏を支援する姿勢で、7月ごろにまとめる「骨太の方針」に盛り込む方針だ。
これも、4日の自民党会合で議題となり「(郵政民営化などと同じ)諮問会議対自民党の形に持っていこうとしているのか」と官邸側への不満が飛び出した。
谷津義男元農水相は会合後、「消費税や郵政民営化のような対立関係は作りたくない」と強い懸念を表明した。別の農林関係議員は「内閣支持率の低い首相がこんなことをして衆院選に臨む気なのか」とあきれるように語った。
生産調整(減反) 潜在的なコメの生産力が需要を上回っているため、コメの価格維持を目的に生産量を調整する政策。国民の「食の多様化」によりコメの需要が減少したことが背景にあり、昭和46年に本格導入された。国が全国の需要見通しから生産数量を決め、各稲作農家に数量を配分、麦や大豆などへの転作に奨励金を出す。今年7月から1年間の全国需要見通しは815万トン。
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