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2009年02月05日(木) 00時00分

職探しは柔軟に読売新聞


求人サイトの見方を説明する内田さん。「求人票をたくさん見ることで、求人動向が見えて来ます」と話す(東京都内で)
「事務系」「正社員」こだわらないで

 厳しい雇用情勢の中で職を探すには、求人情報に賢く目を通すことが大事だ。

 転職や再就職を希望する女性は「事務系」といった条件にこだわり過ぎて“掘り出し物”の求人に気づかないケースもある。周りにも協力を頼むなど戦略を練りたい。(大森亜紀)

 神奈川県の女性(39)は昨年、勤めていた医薬品関連会社の業績が悪化、転職先を探した。ハローワークの窓口で、求人票で見つけた学校法人への紹介状を頼んだところ、「ここには、すでに168人が紹介状を申し込んでいます」と告げられた。想像以上の競争率に心がなえた。

 希望する職種は「総務や経理などの事務系」の「正社員」。インターネットの求人サイトにも応募したが、ことごとく選考に落ち、面接にすらたどりつけなかった。「覚悟はしていましたが、20社近くに断られると、どうしたら良いかわからなくなりました」

 転職や再就職を希望する女性の職探しには、意外な盲点がある。大手人材紹介会社の「パソナキャリア」(東京)で、女性の就労支援に携わるキャリアコンサルタントの内田ひとみさんは「大半が『事務系』の『正社員』を希望します。でも実際は、この形の求人は少なく、倍率が高いのです」。

 派遣や契約社員など働き方が多様化し、正社員採用が減った。事務は「経理事務」「総務事務」など細分化し、営業と事務の兼務など、様々な形が登場している。かつての印象で漠然と希望をしぼると、良い求人を見落としがちだ。

 内田さんは「求人情報を探す時には、希望にこだわり過ぎず、数多くの情報を見ることが大切。自分の中で、譲れない点、妥協できる点を仕分け、条件緩和も視野に入れて探してみて」と勧める。

 そもそも、希望にぴったり合った求人を探すのは難しい。財団法人雇用情報センター(東京)は昨年、49か所の民間人材紹介所にアンケートを実施した。職を探す女性側の条件と企業側の求人情報とのマッチングが「難しい」と答えた事業所は68%に上った。

 冒頭の女性も、正社員にこだわらず、周囲に「良さそうな仕事があったら紹介して」と頼んだら、半年後に契約社員の職を得た。

 情報検索にもコツがある。いろいろな媒体に目を通すのが基本だ。新聞や折り込みチラシ、フリーペーパーに加え、「ハローワークインターネットサービス」(http://www.hellowork.go.jp)などの複数のインターネットの求人情報サイトもチェックする。チラシには自宅周辺の仕事の掲載が多く、インターネットはサイトごとに強い職種があるなど、それぞれの特徴を知って利用したい。

 また、求人要項に職歴や専門的なスキルが必要とあった場合、あきらめてしまう女性も多い。しかし、要項を満たさなくても、人柄で就職につながるケースもあり、臆せず応募をした方がいい。マザーズハローワーク東京(東京都渋谷区)統括職業指導官の相原貴子さんは「職歴が乏しくても、PTAや地域活動などにかかわり、コミュニケーション力や人柄が評価されて採用された例もある。柔軟に考えて」とアドバイスしている。

職を探すコツ(内田さんの話を基に)

 ◆譲れない点を見極める 条件緩和も視野に入れ、勤務時間や賃金など、どこを重視するのかポイントをしぼる。

 ◆数をこなす 就職は情報戦。たくさんの情報を見ることで、求人動向がわかる。

 ◆周りに協力を頼む 家族や友人からの口コミでいち早く求人情報をつかめることも。紹介してもらえば書類選考突破の可能性も高くなる。

 ◆「何となく」はダメ 「3か月で職を探す」「1年かかっても正社員を目指す」など、いつまでにどんな働き方をしたいか、自分なりの職探しのゴールを決める。

http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20090205ok04.htm