宇宙航空研究開発機構は四日、小惑星イトカワへの着陸に成功した探査機「はやぶさ」の地球帰還に向け、二〇〇七年十月から止めていた推進用イオンエンジンを再起動させた。エンジン再起動は地球に帰還するための重要なステップとなる。
はやぶさは現在、太陽を挟んで地球とほぼ反対側の約三億キロかなたを航行中。一〇年六月の帰還を目指す。打ち上げ以来の総飛行距離は約四十五億キロになる見通し。
〇三年に打ち上げられたはやぶさは、〇五年に小惑星への着陸と離陸に成功。着陸時に岩石試料の採取を目指したが、指令ミスにより装置が計画通りに作動せず、失敗したとみられている。
しかし同機構は、着陸時に砂などが舞い上がり、内部のカプセルに入った可能性があるとみて、地球の近くまで帰還できればカプセルを切り離して大気圏に突入させ、地上にパラシュートで落として回収する。
はやぶさは小惑星への二度の着陸、離陸の後、機体の不具合が相次いだ。これまでに三基の姿勢制御装置のうち二基が故障。化学エンジンは燃料漏れで使えず、四つのイオンエンジンも万全ではない満身
宇宙機構は〇七年四月に帰還作業を開始。同年十月までに軌道を変更したが、その後、地球との位置関係を調整するためにエンジンを止め、惰性で飛行させていた。
【写真説明】小惑星探査機「はやぶさ」の飛行中想像図(宇宙航空研究開発機構提供)