江戸時代中期の俳人・画家の与謝蕪村(1716—83年)が制作した文台が、神奈川県鎌倉市長谷の川端康成(1899—1972年)邸で見つかり、川端康成記念会(理事長・川端香男里東大名誉教授)が5日、報道陣に公開した。
文台は句会などで句を書いた懐紙を載せる小机。蕪村研究者の藤田真一関西大教授は「文台は宗匠としての蕪村のシンボルともいえ、蕪村に対する当時の世評の高さが推し量れる」と評価した。
発見された文台は幅約60センチ、奥行き約30センチ、高さ12センチ。天板の裏面に蕪村が制作経緯を記していた。1782年に京都のきりで作られた3点のうちの1点で、丹後の門人の路景に譲ったなどと書かれている。2両以上の価値があると蕪村が記した書簡も一緒に保管されていた。
川端は1951年に古美術商から購入。だが、一般には知られないまま所在不明とされていたという。写真家の土門拳さんが約40年前に川端を撮った写真にこの文台が写っていることに昨年、藤田教授らが気づき、同記念会に所在確認を要請。1月に川端邸の蔵で発見された。
文台は名古屋市の松坂屋美術館で2月19日から3月15日まで、千葉市美術館で4—5月に展示される。
(2009年2月5日20時10分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090205-OHT1T00267.htm