昨秋に堅く見積もったはずの営業利益900億円が吹き飛んだ。4日、2009年3月期連結決算が8期ぶりに営業赤字に転じる見通しとなったマツダ。欧米を軸に販売を伸ばしてきたが、世界的不況の直撃を受けた形だ。経営陣たちは在庫の適正化など足場固めを強調した。
「いつが底か、答えが出ない」。東京都内の会議場で開いた記者会見。昨年10月末に続き、2回目の下方修正に、山内孝社長は厳しい表情で話した。
一番の誤算は堅調だった欧州の急ブレーキ。中でもけん引役だったロシアは信用不安で多くの消費者がローンを組めず「壊滅的な状況」(山内社長)という。昨年12月は在庫調整で輸出ゼロ。他の欧州各国も軒並みダウン。国内、北米も伸びず、10月末の中間決算発表以降だけで1150億円もの営業利益が消えた形だ。
さらに円高に振れた為替も10月以降、250億円分が新たに減益要因になった。山内社長は「マツダはトヨタに次ぐ輸出台数第2位の会社。外需に頼った事業構造になっている」と分析。為替変動のリスクを抑えるためにも今後、国内市場の強化や輸入部品の比率アップなどを示唆し「構造的な手を打つ」とした。
【写真説明】業績の下方修正について説明する山内社長(東京都内の会議場)