依頼者からの預かり金9000万円を詐取したとして、詐欺罪に問われた東京、大阪両地検の元特捜検事の元弁護士・田中森一被告(65)は4日、大阪地裁(和田真裁判長)の初公判で、起訴事実について「だましてはいない。金は弁護士報酬の担保として預かった」と述べ、無罪を主張した。
この日、田中被告は1人の刑務官に付き添われ入廷。古巣の大阪地検との全面対決が始まったが、検察官に目をやることなく、書面を淡々と読み上げた。「特捜のエース」から一転、イトマン事件の許永中受刑者(61)らと親交を深め「闇社会の守護神」の異名を取る弁護士となったが、現在は受刑中の身だ。
起訴状によると、田中被告は2002年10月、出資法違反事件で福岡県警の家宅捜索を受けた元社長から弁護を依頼され、元社長が持っていた現金9000万円をだまし取った、とされる。
検察側は冒頭陳述で、田中被告が「多額の現金を持っていることが警察に発覚すると君が経営者と分かるから預けなさい」とうそを言って9000万円を受け取り、直後に債務の返済などに充てた、と述べた。
弁護側も冒頭陳述し「『リスクが大きい事件で相当な報酬が必要だ』と元社長に伝えた。9000万円を預かってほしいと言われた」と経緯を説明。その後、報酬のつもりで「もらっておくよ」と伝えたが、元社長は特に異議を唱えなかったとして「詐欺罪は成立しない」と反論した。
田中被告は石橋産業の巨額手形詐欺事件で、詐欺罪に問われて懲役3年の実刑判決が確定。昨年3月末に収監された。弁護側は、保釈中の07年に出版しベストセラーとなった自叙伝「反転」を情状証拠として提出した。
(2009年2月5日06時02分 スポーツ報知)
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