自民党最大派閥の町村派は五日の総会で、町村信孝前官房長官を代表世話人から会長に復帰させる一方、中川秀直元幹事長と谷川秀善党両院議員総会長を代表世話人のままとする人事を決めた。最高顧問を務める森喜朗元首相が提案、了承された。麻生太郎首相に批判的な言動を繰り返した中川氏を実質的に格下げする人事で、首相を支える姿勢を明確にする狙い。
従来の集団指導体制を改めた形だが、中川氏を代表世話人に残すことで派内融和にも配慮したとみられる。ただ、中堅、若手議員の一部には、幹部間の対立を背景にした体制見直しに不満が残り、亀裂の完全修復は容易ではなさそうだ。
森氏は総会で「三人の代表世話人という体制をつくったのは私だ。だから私が見直す」として人事案を提案。同時に「人事に関し責任を取る」として町村派を退会する意向を表明した。町村氏らは慰留している。
中川氏は、消費税率引き上げをめぐる党内調整で首相方針を批判するなど「反麻生」と受け止められる動きを続けていた。これに森氏が不快感を表明。相談役の安倍晋三元首相も集団指導体制の見直しに言及した。
中川氏は先月二十九日の派閥総会で麻生氏を支える姿勢を示し、体制維持を主張していた。この日の総会では人事案に明確な賛否は示さなかったという。