東京医科大(東京都新宿区)で二〇〇五—〇七年度にかけ、博士号の学位論文審査にかかわった教授三十三人が、博士号を取得した医局員らから謝礼名目で現金を受け取っていたことが四日、同大の調査で分かった。
調査対象外だった
〇七年度までの三年で現金を渡していたのは少なくとも四十七人。審査は一件につき三人の教授が担当し、謝礼金は審査後に授受された。金額は五万円未満から二十万円を超す例もあった。
同大は臼井学長や教授らを厳重注意処分とし、教授らは一月分の給与から10—50%を自主返上した。
文部科学省によると、昨年五月に内部告発が同省に寄せられた。大学内に調査委員会を設け、教授三十九人、博士号取得者二百二十九人にアンケートして明らかになった。
博士号取得をめぐっては昨年三月、横浜市立大の医学部教授ら二十二人が現金を受け取っていたことが判明し、文科省は各大学に学位審査の厳正化を通知。東京医科大も昨年十月、謝礼金授受を確認すれば懲戒処分にすることを決めている。
文科省によると、現金を受け取った教授については、国立大の場合は公務員とみなされ、収賄罪に問われることもある。名古屋市立大大学院では〇五年、博士号取得の試験内容を漏えいした教授が現金を受け取り、収賄の有罪判決を受けた。東京医科大など私学の場合は、ただちに罪に問われることはない。
臼井学長は「組織的にやったことではないが、あしき慣行だった。社会的に誤解を与える行為で、あってはならないことだ。再発防止を図りたい」と話している。