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2009年02月04日(水) 21時01分

<裁判員制度>少年事件の模擬裁判…刑事か保護か 東京地裁毎日新聞

 少年が被告となった強盗致死事件をテーマにした裁判員制度の模擬裁判が2〜4日、東京地裁で開かれた。少年刑務所で懲役刑を科すか(刑事処分)、立ち直りの教育を重視して少年院に送るか(保護処分)が争われ、裁判員たちは、少年事件特有の事情などを考慮しながら議論した。

 故意に人を死なせた16歳以上の少年は原則として家裁から逆送されて刑事裁判を受ける。ただ、保護処分が相当と判断されれば再び家裁に移送されるほか、プライバシー保護が重視されるなど、成人の裁判とは異なる。今回の模擬裁判は、裁判員が少年事件を審理する際の課題を浮き彫りにさせたい弁護士会の要望で実現した。

 18歳の少年がタクシー運転手を刺して死なせ、売上金を奪ったとされる事件。検察側は「残忍な犯行で遺族の処罰感情も強い」と無期懲役を求刑し、弁護側は「父親の暴力を受けた成育歴や発達障害が背景にある」と少年院送致を求めた。

 評議では「人の命を奪ったことは重く、刑罰を科すべきだ」との意見が大勢を占めたが、量刑では成育歴や発達障害を重視し、無期懲役は重過ぎるとして懲役5年以上10年以下の不定期刑を選択した。

 終了後、裁判員役の女性(34)は「少年のことを思えば、まず罪を償わせてから教育することが重要と思ったが、何を基に判断していいか分からなくなった」と話し、会社員男性(35)は「悩んだが、被害者側の立場で意見を述べた」と語った。

 少年事件では、家裁調査官が成育歴や家庭環境などを調べた資料(社会記録)が作られるが、プライバシーとの兼ね合いで裁判員裁判でどの程度明らかにすべきか議論になっている。今回の模擬裁判では、弁護側が「内容が不適切」と主張したために、社会記録は証拠採用されなかった。【北村和巳、伊藤一郎】

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