パナソニックは4日、世界的な景気後退による急速な業績悪化に対応するため、2010年3月末までに全世界で正社員、非正社員合わせて約1万5000人の人員削減と、国内外で計約230カ所の生産拠点のうち27カ所を閉鎖する方針を発表した。また09年3月期連結決算の純損益予想を下方修正し、従来の300億円の黒字から3800億円の赤字となる見通しも公表した。赤字転落は6年ぶり。主力の薄型テレビを始めとするデジタル家電部門の採算悪化などが影響した。
国内の電機メーカーではソニーが1万6000人、NECが2万人以上など大規模な人員削減を決めており、雇用情勢は一段と悪化しそうだ。企業業績の悪化は消費者に身近な電機、自動車にとどまらず、鉄鋼や化学など素材産業にも及んでおり、景気後退の影響は全産業に広がっている。
都内で記者会見したパナソニックの上野山実取締役は「市場が縮小し底が見えない。この状況は1年から2年は続くとみており、構造改革は(09年3月期以降も)続く」と述べた。人員削減は国内外で約半分ずつの割合、拠点閉鎖は国内が13、海外が14カ所。今後もさらに同規模の数の拠点閉鎖を検討している。
リストラなどの構造改革費用として1900億円を追加計上し収益改善を急ぐ。純損益の赤字幅は02年3月期(約4300億円の赤字)以来の規模になる。
営業利益も昨年11月に公表した従来予想より2800億円減の600億円に下方修正するが、これまでの合理化効果などで黒字は確保する。売上高は従来予想より7500億円減の7兆7500億円になる見通し。
業績悪化を受けて、2月から報酬を役員は10—20%、管理職は5%カットする。また薄型テレビの販売が低迷していることから、兵庫県尼崎市と同県姫路市で建設中のプラズマ、液晶テレビ向けパネル工場の生産開始時期を、それぞれ半年間延期する。
(2009年2月4日22時13分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090204-OHT1T00272.htm