佐賀県武雄市の病院で2007年11月、入院中の板金業宮元洋さん=当時(34)=を対立暴力団関係者と間違えて射殺したとして殺人罪などに問われた指定暴力団道仁会系の元組員今田文雄被告(62)の控訴審判決で、福岡高裁は3日、懲役24年の一審佐賀地裁判決を破棄、求刑通り無期懲役を言い渡した。
判決理由で川口宰護裁判長は、事件を「暴力団特有の論理に基づく対立抗争の一環」とし、無関係の市民を巻き込んだ犯行を「殺人の中でも極めて悪質だ」と非難。
遺族との示談は「道仁会の代表者が使用者責任に基づいて行い、被告と遺族との間で成立したものではない」と指摘し、「有利な事情としても、さほど重視できない」と判断した。
一、二審を通じ宮元さんを「今でも企業舎弟と思っている」と誤認を否定した今田被告の態度については「真摯(しんし)に反省しているとは到底認められない。刑事責任は極めて重大だ」と批判し、昨年6月の一審判決は軽すぎて不当と結論付けた。
閉廷後、目を赤く腫らして記者会見に臨んだ宮元さんの妻篤紀さん(36)は「わたしたちの気持ちが伝わった。取り返しのつかないことをやったのだと心から感じてほしい」と語った。
判決によると、今田被告は07年8月の道仁会会長射殺事件の報復として指定暴力団九州誠道会関係者の殺害を計画。11月8日朝、病院に侵入して、関係者と誤認した宮元さんを拳銃で撃ち、殺害した。
道仁会の会長人事に反発した最大派閥が06年5月に離脱、九州誠道会を結成して抗争が始まった。事件は、対立が激化する中で起きた。
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