大手ゲームソフト制作会社「ハドソン」の人気シリーズ「桃太郎電鉄」の意見欄に、メールで「7000兆円持ってこい」などと書き込んでいた男が警視庁赤坂署に威力業務妨害容疑で逮捕されていたことが2日、分かった。携帯版「桃鉄」の愛好者だった香川県坂出市の運送業見習い・池孝雄容疑者(29)は「爆弾を送りつけて皆殺しにしてやる」などと、同社の人気キャラクター「ボンバーマン」を意識したかのような文言で脅迫を繰り返していた。
爆弾を爆発させて道を切り開き、敵を倒していくハドソンの人気キャラクター「ボンバーマン」とは、似ても似つかぬ「脅迫ボンバーマン」が逮捕された。
赤坂署によると、池容疑者は昨年10月から今年1月にかけてハドソンに対し、携帯サイトの意見・感想欄で「現金80兆円持って、JR高松駅まで来い! 何なら、てめえらの会社に爆弾を送りつけて皆殺しにしてやる!」などと計11回にわたってメールを送信し、同社の業務を妨害した疑いで逮捕された。
電鉄会社の社長になって各地の物件を購入し、収益を競うすごろくゲーム「桃太郎電鉄」。携帯電話で同作を遊んでいた池容疑者は「(設定年数)20年では(各地を)回りきれないから、100年モードを作れ」などと、内容改善をサイト上で繰り返し求めていた。
メールを送り始めた06年2月当時は要望のみだったが、07年6月頃から次第に現金要求へとエスカレート。計48通に及んだ脅迫メールにおける要求額は『社長』に慣れすぎて金銭感覚がマヒしたのか10兆円に始まり、3兆、10兆、50兆、700兆、777兆、800兆と「気分によって」(捜査関係者)変化し、最後は「7000兆円持ってこい!」と天文学的金額にまで達した。メールでの口癖が「ぶっ殺してやる!」だった。
池容疑者は「ゲームの要望や意見を送ったが、改善されないので困惑させてやろうと思った」と供述している。
ハドソンの広報担当者は「当社のコンテンツのお客様ではありますが、行きすぎた行為に厳格な対応を取らせていただきました」と説明。警察と相談を重ね、先月26日に被害届を赤坂署に提出した。内容改善を求めるメールに対しては「貴重な意見を有り難うございました。検討させていただきます」と返信していた。
ハドソンといえば、かつて「1秒間にボタンを16連打する」と言われた高橋名人が有名。80年代後半に小学生のスーパースターだった「名人」に対し、池容疑者は、とんだ迷惑を及ぼす「迷人」だった。
◆桃太郎電鉄シリーズ すごろくゲーム。88年12月にロールプレーイングゲーム「桃太郎伝説」の姉妹版としてファミコン用ソフトで発売。以降、昨年12月発売のニンテンドーDS用「桃太郎電鉄20周年」まで全27ソフト(携帯版は7作)制作され、累計販売数は1000万本超。ハドソンでは画面に爆弾を置き、敵を倒していく「ボンバーマン」シリーズと並ぶ人気ソフト。ゲームは電鉄会社の社長として各地を移動して物件を購入。決められた年数の中で稼いだ収益の高さで競い合う。登場キャラクターに「ボンビー」など。愛称は「桃鉄」。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090203-OHT1T00089.htm