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2009年02月03日(火) 20時44分

<グーグル>「ストリートビュー」今後は自治体へ事前説明毎日新聞

 個人の住宅などを撮影した画像をインターネットで無料公開する「ストリートビュー」について、運営するグーグル社は3日、今後は画像を公開する場合に関係自治体への事前説明をする方針を表明した。東京都情報公開・個人情報保護審議会で、担当者が明らかにした。プライバシー侵害や犯罪への悪用が懸念する声が出ているが、担当者は「説明責任が足りなかったと反省している」と述べた。

 ストリートビューを巡っては昨年8月のサービス開始以来、都に約40件の意見や苦情が寄せられた。審議会は昨年11月から、(1)公開されている画像は個人情報保護法が定める個人情報(特定の個人を識別できる情報)に当たるか(2)個人情報に当たらなくても、プライバシー権の侵害に問われるか−−など法的問題点の議論を開始した。

 3日の会合では、グ社広報部長の舟橋義人氏、ポリシーカウンセルの藤田一夫氏がサービス内容を説明。委員からはサービス開始前に被写体とされた当事者に異議を表明する機会を与えなかった理由や、プライバシーに関する社内の検討状況について質問が相次いだ。藤田氏は「事前に説明しておけばよかった。日本にはプライバシーを専門に扱う機関がないと判断した。詰めが甘かった」と答えた。

 グ社によると、公開の場で担当者がストリートビューの説明をしたのは初めて。舟橋氏は「これからは社の考え方を積極的に説明したい」と述べた。審議会は今後も議論を続ける。会長を務める堀部政男一橋大名誉教授は「技術の発展を阻止するような規制はすべきではないが、個人の利益を害していると判断されれば救済策を講じる必要があり、バランスが難しい問題だ」と話した。【須山勉】

【ことば】ストリートビュー

 グーグル社がインターネットの地図検索サービスで始めた新機能。住所を入力するとその地点を地上2.5メートル、周囲360度にわたって撮影した画像が映し出される。07年5月に米国の5都市でサービスが始まった。昨年8月には日本とオーストラリア、同10月からフランスとスペインの一部都市の画像も提供されている。

◇ストリートビューをめぐる昨年の主な動き◇

▼グーグル社へ対応の申し入れ

東京都杉並区=8月12日、11月7日

▼対応などを求める意見書の採択

東京都町田市議会=10月9日

札幌市議会=12月11日

奈良県生駒市議会=12月11日

大阪府茨木市議会=12月16日

奈良県三郷町議会=12月17日

大阪府高槻市議会=12月18日

神奈川県相模原市議会=12月20日

東京都狛江市議会=12月22日

広島県福山市議会=12月22日

▼サービス中止などを求める声明

福岡県弁護士会=12月1日

新潟県弁護士会=12月24日

※他にも大学教授やジャーナリストらがサービス中止を求めるようグーグル社に要請

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