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2009年02月03日(火) 19時51分

天下り廃止、官の骨抜きも 交流センター態勢整わず中国新聞

 政府は三日、麻生太郎首相が官僚の天下りと、官僚OBが再就職を繰り返す「渡り」について、省庁のあっせんを年内に廃止する政令を制定する方針を表明したことを受け、具体的な作業に着手した。ただ省庁に代わって再就職あっせんを担うことになる「官民人材交流センター」は態勢が整っておらず、官僚による骨抜きの可能性も指摘されている。

 首相は渡りのあっせんは認めないと言明する一方、省庁のあっせん自体は容認する姿勢を示してきたが、天下りに対する国民の強い批判を踏まえて方針転換した。政府筋は今春にも政令を閣議決定したい意向を示しているが、調整は難航も予想される。

 首相は三日午後の衆院予算委員会で、政令により天下りあっせんを年内に廃止する方針を重ねて表明。民主党の細野豪志氏は三年以内のあっせんを容認する政令との矛盾を指摘し「法改正で対応すべきだ」と迫ったが、首相は拒否した。

 昨年末に設置された「官民人材交流センター」は全国七カ所に支所を配置するが、総勢は五十人足らずの陣容。二〇一一年の本格稼働を予定しており、これまであっせんの実績はない。関係者は「年内にはとても準備が間に合わない」としている。

 政府は天下り根絶のため、一一年に早期退職制度の是正に向けた新制度を実現することなどを盛り込んだ国家公務員制度改革の工程表を三日に決めたばかり。首相の方針転換について、省庁サイドからは「役人いじめで、世論の関心を得ようとする場当たり的な対応」(経済産業省幹部)との批判も出ている。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200902030359.html