職を失った非正社員らの数が全国で2番目に多い長野県。県南部にある伊那市のブラジル人学校「コレージョデザフィーオ」は2日、昨年11月に約80人だった児童・生徒が30人に激減し、さみしい新学期を迎えた。
経済状況の悪化で、精密機械や電気・電子部品などの工場で働いていた日系ブラジル人の親らが、雇い止めなどで職を失ったためだ。
同校は0歳〜18歳が対象で、将来のブラジル帰国を考える親が、ポルトガル語やブラジルの習慣を身に着けるため通わせている。通えなくなった児童・生徒約50人は、授業料を払えなくなった。このうち約10人は、親が職を見つけることができず、帰国したという。
小学4〜6年生のクラスは、18人から6人になった。ポルトガル語の授業が行われていた教室では、並んだ机に子供たちがまばらに座って、冬休みの思い出の作文を書いていた。
教師の井上留美さん(39)は「親の経済的事情とはいえ、子供が減ってしまうのはさみしいし、心が痛む」と話す。
別のクラスの高野ジョナタンさん(15)(箕輪町)は、「親友が学校に来なくなってしまい、どうしているのか気になるけれど、連絡が取れない」と心配そう。
同校ではブラジル人教師も、工場に勤めていた家族が失職するなどして、故郷に帰る人が相次いだ。7人いた教師が3人になった。
子供たちが通えるようにと、授業料を2割下げ、職員給与も4割減らした。飯島ヨシムネ校長(42)は「教師の人件費の捻出(ねんしゅつ)も大変。親の仕事が2月でなくなるため、続けて通えるかわからない子供もいる。学校を閉鎖するなんて、子供たちに言えない。何とか続けていきたい」と話している。
ハローワーク伊那には昨年12月、外国人労働者から464件の相談があり、前年同月(20件)の23倍に上っている。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081209-206556/news/20090202-OYT1T01153.htm