格安理髪店が人気だが、女性が利用する美容室でも1000円台で髪をカットしてくれる低価格化の波が広がりはじめた。余分な経費を徹底的に省きながら、「安かろう悪かろう」に陥らない店が人気を呼んでいるようだ。(経済部 滝沢聡)
横浜市中区のショッピングセンターに店を構える美容室「イレブンカット イトーヨーカドー本牧店」。ヘアカットと髪染めのため来店した主婦、榎戸美登世さんは、店外で買った市販のヘアカラー剤を美容師に差し出した。同店では、客が持ち込んだヘアカラー剤で染めるサービスを、2100円で行っている。カットと髪染めは1時間ほどで終わり、カット代込みの料金は3675円。「ほかの店なら7000円はします。また来ます」と榎戸さんは満足そう。
同店の上中真一店長は「安かろう悪かろうと思われないよう接客に力を入れています。美容師の技術も確かです」と話す。
イレブンカットは神奈川と東京を中心に83店舗を展開。カットとブローだけなら料金は1575円と、普通の美容室の半額から3分の1以下だ。
低価格の秘密は、マッサージなど余分なサービスを行わない点にある。髪形の確認以外の「冗長な会話」も省く。カットだけなら十数分で終わるため、美容師が多くの客に対応でき、低価格で利益を上げられる。
東京・自由が丘などで16店舗を出店する「イッツ!」は、カット専門美容室。カットとブローで1300円だ。予約受け付けにコンピューターシステムを導入し、美容師以外の人件費を削減している。シャンプーも省き、個室型の席が並ぶ店内には洗髪台がない。出店時の内装代が半分に抑えられるという。
運営会社「トライアングル」の前島勝弥社長は「安いだけで客が来る時代ではない。内装にもこだわり、価格以上の価値を感じられるサービスを心がけている」と話している。
◆1000円台美容室「低価格」の秘密◆
・マッサージやお茶の提供など、余分なサービスを徹底してカット
・受付やアシスタントなど、美容師以外のスタッフを極力減らし、人件費をカット
・シャンプーは原則なし
・接客は10〜20分。多くの客にサービスし収益向上
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20090203ok01.htm