ニッポン放送株のインサイダー取引事件で証券取引法(現金融商品取引法)違反罪に問われた村上ファンドの元代表村上世彰被告(49)の控訴審判決で、東京高裁は3日、懲役2年などとした一審の実刑判決を破棄、懲役2年、執行猶予3年を言い渡した。罰金300万円、追徴金約11億4900万円は一審通り。
投資顧問会社、MACアセットマネジメントについても罰金3億円の一審判決を破棄、罰金2億円とした。
門野博裁判長は「被告が当初からインサイダー情報で利得を得ようとしたものではなく、現在は株取引の世界から身を引いている」などと、執行猶予の理由を挙げた。
村上被告は無罪を主張したが、判決は一審同様、被告がライブドア(LD)側から伝えられたインサイダー情報に基づき、不正取引をしたと認定。「取得額は巨額で株取引のプロによる犯罪。刑事責任を軽視できない」と非難した。
被告とMAC社は即日、最高裁に上告した。
判決は、村上被告から2004年9月の会議でニッポン放送株の大量取得を勧められた当時のLD社長堀江貴文被告(36)=粉飾決算事件で一、二審実刑、上告=らが同11月8日までに、買収調査と資金調達に一定のめどをつけ、株の3分の1取得を決定したと判断。「同日の会議でLD側が被告に協力を得たいと伝えたことは明らか」と、インサイダー情報の伝達を認めた。
しかし、村上被告はこの情報を重視せず、従来方針に沿って同放送株を買い増していたと指摘。「翌05年1月6日の会議以降に、大量取得へ向けたLD側の動きが現実化したと明確に認識した」と述べ、「当初は、明確に違法と意識して行動していたとは思われず、実刑は重すぎる」と結論付けた。
判決によると、村上被告は04年11月の会議で、堀江被告らからニッポン放送株の大量取得方針を聞き、約193万株を購入、高値で売り抜けた。
村上世彰被告「判決は納得できるものではなく、上告して適正な判断を仰ぎたい」
村上世彰被告の弁護団「村上被告の主張をおおむね受け入れた判決で、社会的名誉も一部回復された。ただ、事実認定に納得できない点もあり、有罪に結び付いたと考えられるため、上告の手続きをした」
(2009年2月3日21時43分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090203-OHT1T00244.htm