北海道音更町の音更町農業協同組合に勤務していた男性=当時(33)=が過労でうつ病になり自殺したのは、農協が安全配慮義務を怠ったためとして、遺族が約一億四千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、釧路地裁帯広支部(
岡山裁判長は判決理由で、農協側が争点としていた自殺の予見可能性を「精神面の変調や自殺について予見できなかったとはいえない」と断定。その上で「労働時間を適正に抑え、精神科への受診を勧奨するなどの措置を取っていれば防止できた」と農協側の過失を全面的に認めた。
判決によると、男性は組合員の農作物を販売する青果課に勤務していたが、前任の係長が二〇〇四年六月に病気で休職したことなどで担当業務が増大。〇五年四月の人事異動で係長に昇進した後も、上司から
帯広労働基準監督署は〇六年十二月、業務上災害を認定していた。
原告側弁護士は判決後の記者会見で「遺族の思いが完全に反映された良識的な判決だ」と評価。賠償額が高額となった理由を「慰謝料が大きく認められた」と説明した。
音更町農協は「判決文を見ていないのでコメントできない。今後のことは弁護士と相談して決めたい」としている。