2009年02月02日(月) 09時38分
【Q&A】Wi-FiとWiMAXの違いは?(TechTarget)
質問:さまざまな無線技術がありますが、無線LAN、Wi-Fi、WiMAXはそれぞれどのような利用シーンに適しているのでしょうか。また、Wi-Fiと無線LANの主な違いについて教えてください。
Wi-Fi製品が無線LAN(Wireless Local Area Network)を構築するのに利用されるのに対して、WiMAX製品は無線MAN(Wireless Metropolitan Area Network)を構築されるのに利用される。
無線LANは、1棟のオフィスビルや家屋のような比較的小さな空間内で無線によってリンクされたデバイスのグループだ。最初のIEEE 802.11規格には3つの無線LAN技術が含まれていた。赤外線方式、FHSS(Frequency-Hopping Spread Spectrum:周波数ホッピング方式)、そしてDSSS(Direct Sequence Spread Spectrum:直接拡散方式)だ。IEEE 802.11bはDSSS方式だけを使用する規格。IEEE 802.11a/g/nでは、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重方式)も使用される。
Wi-Fiは802.11a/b/g/n製品に適用される認定だ。この認定試験は、異種混在無線LANにおける相互運用性を推進するWi-Fi Allianceによって実施される。例えば、すべての802.11g製品は標準のOFDMとDSSS技術を実装しているが、Wi-Fi認定を受けるのは、必須とされている機能とオプションを正しくサポートしていることが実証された製品だけだ。
大企業であれ中小企業であれ家庭ユーザーであれ、無線LANを構築するには、Wi-Fi認定を受けたアクセスポイント(AP)とクライアント(ノートPC、電話機、プリンタなど)を購入する必要がある。クライアントは、最も近くのAPから数百フィート(屋内で通常10〜50メートル)以内の距離になければならない。大きな建物の場合は、互いに接続された複数のAPを設置することによって建物全体をカバーすることができる。大抵の無線LANは屋内に配備されるが、駐車場や中庭などの屋外エリアも無線LANの通信範囲に含めることは可能だ。
一方無線MANは、無線「ラストマイル」技術を利用して加入者のステーション(ユーザーの屋内装置)を基地局(キャリアのネットワークインフラ)に接続することにより、DSL、ケーブル、光ファイバーなどの有線インターネットアクセス技術に代わる無線アクセスを提供する。
IEEE 802.16規格は、BWA(Broadband Wireless Access)を提供するために、さまざまな周波数、通信距離、通信速度で動作する複数の無線MAN技術を規定している。最初の802.16規格はFixed BWA技術を採用し、ポイント・ツー・ポイント方式の無線アップリンクを使って加入者のネットワークをキャリアのネットワークおよびインターネットに接続する。その後、IEEE 802.16eでの修正によって、場所が固定していない加入者のステーション(車や列車の中で使用するノートPCなど)に対応したMobile BWAが規定された。
WiMAXは、WiMAX Forumによってテストされた802.16製品に適用される認定。キャリア各社は、認可周波数帯域を購入し、市、地域、そのほかの指定通信エリア全域にWiMAXのベースステーションを配備することによって無線MANを構築・運用する。加入者が無線MANを利用するには、キャリアから無線サービスを購入しなければならない。例えば、Sprintは最近、ボルティモアに「XOHM」という商用WiMAXサービスを立ち上げた。ボルティモア市内および同市周辺のコンシューマーがXOHMを利用するには、同サービスに対応したWiMAX機器を購入し、Sprintに通信料金を支払う必要がある。
Wi-FiおよびWiMAX製品がそれぞれサポートする無線LAN技術と無線MAN技術の主要な違いを次に示す。
・無線MAN技術を屋内で使用することは可能だが、802.16プロトコルは屋外での運用に最適化されている。無線LAN技術を屋外で使用することも可能だが、802.11プロトコルは基本的に屋内ネットワーク用にデザインされている
・多数のWi-Fi APを高密度に配置して大規模な無線LANを構築することもできるが、何キロもの範囲を無線でカバーするのであれば、無線MAN技術を利用した方がいい。一方、同じ建物内のPC間で通信をするのにWiMAX製品を使用するのは、コストが高くつき、現実的ではない。こういった用途向けに開発されたのが無線LAN技術なのだ
・大抵のオフィス/家庭用の無線LANは、免許不要の周波数帯域(誰でも自由に利用できる周波数チャンネル)で動作するWi-Fi製品で構成されている。WiMAX製品は一般に、商用BWAサービスを提供する無線キャリアに認可された周波数帯域で動作する
要するに、無線LANと無線MANは互いに補完的なネットワークアーキテクチャであり、それぞれ大幅に異なる環境/用途向けにデザインされた標準技術によってサポートされている。そのようなわけで、あなたが今度購入するノートPCにWi-FiアダプターとMobile WiMAXアダプターの両方が組み込まれている可能性も十分にある。Wi-Fiアダプターはオフィス/家庭の無線LANとの接続に使用し、外出時にキャリアの無線MANを通じてインターネットにアクセスする際にはWiMAXアダプターを使用すればいいのだ。
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