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2009年02月02日(月) 03時07分

「L&G」出資法違反事件、640億円使途不明に読売新聞

 疑似通貨「円天」や「高額配当」をうたい文句に5万人から2260億円を集めたとされる「L&G」(東京・新宿、破産手続き中)の出資法違反事件で、集めた資金のうち640億円が使途不明になっていることが、同社の破産管財人の調査でわかった。

 波和二会長(75)は読売新聞の取材に対し、「金はすべて使ってしまった」「返金する必要はない」などと話しており、警視庁などは波会長ら幹部約20人について組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)での立件を視野に、不透明な資金の流れの解明を急いでいる。

 破産管財人によると、集めた2260億円のうち、配当として会員に渡されたのは1220億円に過ぎず、解約による返金を合わせても、会員には1390億円しか支払われていなかった。未返還分870億円のうち、経費などは230億円で、残る640億円の使途が分からないという。

 波会長は今、東京都新宿区内のマンションで独り暮らしを続けている。

 「日本や世界の経済を『円天』で動かすことが最終的な目標だった」

 今年1月、自宅で取材に応じた波会長に、悪びれた様子はなかった。

 2007年には年収が1億円を超え、同区内の高級マンションに住んでいたが、今の住居は冷蔵庫など最低限の家財道具だけを置いた手狭な一室。日中は、パチンコをしたり、ブログを書いたりして過ごしており、「好きなゴルフも、世間に顔が知られてからは行けなくなった」と、焼酎のグラスを片手にそうこぼした。

 マルチ商法を手がける複数の会社を渡り歩き、1987年にL&Gを設立。当初は布団などを販売していたが、01年から高額の配当をうたって資金を集め始め、04年には、スーパーなどのポイント制をヒントに「円天」を考案した。

 円天は独自の電子マネーで、例えば、10万円出資すると、年に「10万円天」を受け取ることができ、各地の高級ホテルやインターネットサイト上で開かれる「円天市場」で食材や宝石、家具などの買い物に使えるとされた。会員は06年末には定年退職者や中高年の主婦らを中心に5万人に膨らんだが、07年1月、突然、現金での配当を停止した。

 破産管財人の調査では、870億円が未返還となっているが、波会長は「L&Gは破産してなくなり、もう(自分は)関係ない。返金の必要もない」「だますつもりはなかった。(破綻(はたん)は)悪いうわさが広まって会員がやめたから」として、被害者への謝罪の言葉を口にすることはなかった。

 また、人件費や宣伝活動費などの経費は230億円分しか確認できず、巨額の使途不明金が出ていることについては、「集めた資金はすべて、会員への返金や宣伝費などの事業費に使ってしまった」「円天を普及させるために、芸能人をイベントに呼ぶなどしたので、それだけの資金が必要だった。資産を隠したりはしていない」と主張した。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090201-OYT1T00863.htm