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2009年02月02日(月) 02時14分

<別府大分マラソン>還暦の保坂さん、マスターズ世界記録毎日新聞

 1日にあった第58回別府大分毎日マラソン大会(毎日新聞社など主催)で、還暦の鉄人ランナーが輝きを放った。今大会最年長出場者の保坂好久さん(60)=静岡陸協=が、世界マスターズ陸上のマラソン60歳以上の部で現在の世界記録を1分45秒更新する2時間36分30秒(89位)でゴール。偉業達成に会心の笑顔がはじけた。

 苦しくても、楽しい42.195キロだった。競技場に戻って来た時はフラフラだったが、懸命に腕を、首を振って前に進む。電光掲示板を視界にとらえながらゴールラインを越え「やった」。ガッツポーズもそこそこに、市民ランナーたちに囲まれ「すごいですよ」「さすが鉄人」と熱い祝福を受けた。

 保坂さんは、36歳で友人と駅伝チームを結成して走り始め、42歳の時に地元での市民レースで優勝。賞品のホノルルマラソン出場旅行で初マラソンに挑戦し、2時間31分19秒の好記録をマークした。以来、マラソンの楽しさに目覚め、出場したレースは昨年までで70。この1年は60歳で迎える別大での世界記録更新を目標に、1日30キロを走り続けてきた。

 この日は、保坂さんの挑戦を知った沿道の観客からも至るところで「世界記録へ頑張れー」などと声援が飛ぶ。27キロ付近の県警別府署前では大勢の応援団が大きな垂れ幕を掲げて鼓舞。直前に右ふくらはぎを痛めるなど体調も万全ではなかっただけに「沿道の応援がすごくて、鳥肌が立つくらいうれしかった。あれで頑張れた」。

 35キロ付近からは、マラソン仲間が周りを囲んで引っ張ってくれた。集団から遅れだすと、後方から来た別のランナーたちが同じようにサポート。「保坂さん、行こう」「頑張りましょう」。多くの応援や支えを受けて走りきり「こんなに幸せな市民ランナーはいない。最高です」と感激の面持ちで振り返った。

 世界マスターズ陸上競技協会に申請、認定された時点で正式に世界記録となる。マスターズ陸上は5歳刻みでカテゴリーが設けられている。「次は65歳すぎたら記録を狙うかなあ。何歳まで? 行けるところまで走り続けますよ」【大島祥平】



    ◇

 12年連続出場の大阪市職員、長島潮(うしお)選手(43)は、この日も「ロケットスタート」を見せた。号砲で一気に飛び出し、陸上競技場を1周半する間はトップを独走=写真下。集団にのみ込まれるまでテレビ画面に映ることで「応援してくれる職場や家族に感謝を示せました」と、してやったりの表情だった。

 長島選手はマラソン界ではつとに有名。今回のスタート順は14列目だったが、周囲の選手は「どうぞどうぞ」とにこやかに前を譲ってくれ、スタート時には招待選手に紛れて1列目の大外の位置を確保していた。

 号砲後、一瞬で内側に入り集団を引き離すと、おなじみの光景に観客席からは笑い声も上がった。だが、競技場を出るころには歯を食いしばり、首を左右に振ってあえぐように。それでも、2時間40分54秒(153位)で完走した。

 「最初のダッシュは準備体操。5キロまでは流して、それからが再スタート」。こんな調子で100回近くマラソン出場を重ね、途中棄権はわずか2回という。他のランナーからも一目置かれており、「記憶に残る選手」の地位を固めつつある。

【朴鐘珠】

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