島根県邑南町阿須那の牛馬市で買われた源頼朝の愛馬「池月(いけづき)」の伝説にちなみ、同地区の活性化グループ「YUTAかプロジェクト」が、地元の酒蔵と提携し、独自銘柄の純米酒の開発を進めている。5月に発売予定で、利益は活動資金に充てて取り組みを広げていく。
「池月」の故郷とされる雲南市掛合町の龍頭(りゅうず)が滝にちなみ、銘柄は「誉(ほまれ)池月 龍頭ケ滝」。阿須那の池月酒造で3月中旬に新酒を瓶詰めした後、「池月」が2歳まで泳いで育ったとされる滝つぼに約1カ月沈め熟成させる。
PRに必要な酒造りの知識を学ぼうと、約20人が1日、同酒造を訪問。「龍頭ケ滝」用の仕込みタンクなどを見て回り、もろみを口に含んで味わった。
プロジェクトは県の中山間地域コミュニティ再生事業の一環で阿須那はモデル地区の一つ。雪田、宇都井、戸河内、阿須那の4集落の頭文字と「豊かに」の願いを込め「YUTAかプロジェクト」として昨年8月から、農業、交流、食をテーマに新たな取り組みを模索している。
酒づくりは活動の第1号。酒米を地元の農事組合法人「田吾作」が作り、同酒造に委ねた。720ミリリットル入りで約250本を販売予定。売り上げの10%は都市住民との交流や新商品開発などの資金に充てる計画だ。
【写真説明】杜氏(とうじ=左端)から酒造りを学ぶ「YUTAかプロジェクト」のメンバー