広島市内の市立図書館13館の本年度の入館者数が昨年12月末時点で約256万人と、前年度同期に比べ約26万人増えた。2006年の指定管理者制度導入前後に始めた図書館の特色づくりなどの成果が出る一方、不況の影響もあり、伸び率が高くなっている。
管理者の市文化財団によると、全館の入館者数は昨年12月末時点で前年度比11.3%増。ここ数年間は、前年度比4.5%—2.7%の割合で増えているが、本年度は前年07年度の約305万人を大幅に上回る勢い。貸出冊数も昨年12月末で約370万冊と、年間約479万冊だった前年度に比べ、同期比で約32万冊増。財団は「不況で本の購入を節約する人の来館が増えたのでは」とみる。
市中心部の中央図書館では「高価な絵本は図書館で」という母親が増えているという。冷え込む景気を反映し、経済に関する情報を得ようとする人も目立ち、起業や就業、個人のキャリアアップなどの記事を端末で閲覧できる「ビジネス支援情報コーナー」の利用も多いと説明する。
各図書館で特色づくりは進み、中央図書館は病気別に並べた闘病記コーナーを新設。佐伯区図書館は高齢者向けの大活字本を増やし、安芸区図書館は触って楽しむ布絵本コーナーを設けた。話題の作家の関連書展示や乳幼児向けの読み聞かせなども利用者増に結びついた。
【写真説明】安佐南区図書館で乳幼児に読み聞かせをするボランティア