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2009年02月01日(日) 03時04分

GWG問題、議員秘書が会計士側に金融庁幹部を紹介読売新聞

 旧「グッドウィル・グループ」(GWG)の企業買収に絡んで公認会計士(51)側に約180億円が流れていた問題で、携帯電話リサーチ会社株の買い取りで利益を提供されていた自民党・中川秀直元幹事長の公設第2秘書(当時)が、会計士の支配下にあった上場企業社長に金融庁幹部を紹介していたことがわかった。

 社長は自社の上場維持について問い合わせ、金融庁から「上場廃止基準に触れるケースではない」などとする回答を得ていた。

 携帯電話リサーチ会社「モバイルジャッジ」株の売却で660万円の利益を得た秘書が、見返りに会計士側に便宜を図っていた構図が明らかになった。

 秘書に金融庁幹部を紹介してもらったのは、大証2部上場の住宅建築会社「千年の杜」(現・東邦グローバルアソシエイツ、東京都港区)の当時の社長。会計士側は2006年10月のGWGによる人材派遣サービス会社買収時に得た約180億円の一部を千年の杜の株購入に充てており、社長は会計士の指示を受けながら経営にあたっていた。

 複数の関係者によると、千年の杜を巡っては07年9月以降、大証から情報開示の不備を指摘されたり、中間決算で債務超過に陥ったりするなどの問題が続いていた。このため上場廃止になることを懸念した社長は、モバイル社の関係者を通じて秘書に接触、同年11月19日午後、議員会館にある中川元幹事長の事務所で秘書に相談した。

 秘書はその日のうちに社長に金融庁幹部を紹介。金融庁内で社長と会った幹部は担当者を同席させて、「上場廃止にあたるケースではないと思う。心配なら大証に相談してほしい」などと回答したという。社長はその後、大証に事情説明に赴いた際に、この時に交換した幹部の名刺を示し「こういう人と知り合いだ」などと話したという。

 証券取引所を監督する金融庁の幹部が、上場廃止についての相談を受けるのは異例。幹部は、社長や秘書と会ったことを認めたうえで、「上場廃止基準の考え方を聞かれたという認識だった。秘書とは以前からの知り合いだが、取引所への口利きなどの要望だったら、面会を断っていた」と説明した。

 秘書は「よく覚えていない」と話している。秘書は昨年12月に中川元幹事長の事務所を退職しており、同事務所では「上場廃止の回避に関する相談でなく、提出書類の確認と聞いている。誤解を招いたとしたら遺憾」とコメントしている。

 会計士側はGWGからの資金を元手に一時、千年の杜の発行済み株式の約半数を保有したが、その後、多くを売却したとみられる。千年の杜は昨年4月、東邦グローバルアソシエイツに社名変更した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090201-00000004-yom-soci