2009年02月01日(日) 02時06分
ワークシェア導入に向け「政労使会議」の設置を検討 政府与党(産経新聞)
政府・与党は31日、未曾有の経済危機が雇用を直撃するなか、雇用維持に向けて政府、労働界、経済界の代表者による「政労使会議」を設置する方向で検討に入った。政府はこれまで雇用問題については労使の協議を見守る姿勢を示してきたが、利害が激しく対立する労使間での調整は難航している。政府が事実上の方針転換に踏み切り、積極的に労使の間を取り持つことで、仕事を分かち合うワークシェアリングなど、雇用維持に向けた対策が一気に動き出す可能性が強まってきた。
「政労使会議」は官邸に設置する案が有力だ。労働時間の短縮と賃金削減を組み合わせるワークシェアリング導入に向けた議論を加速させるのがねらいだ。
メンバーの人選などはこれからだが、政府のほか、日本経団連など財界の代表、さらには連合の代表などが労働側の代表として参加する見込み。また、連合のほかに、非正規労働者の代表を加えることも検討していく。
金融危機に端を発する世界同時不況が、自動車や電機といった日本の基幹産業である製造業を直撃。減産に伴い、派遣労働者や期間従業員の「雇い止め」が相次ぎ、昨年10月から今年3月までに失職したか失職する見通しの非正規労働者は約12万5000人に上る。また、昨年12月の完全失業率も悪化幅が過去最悪となるなど、政府は「今までに例のない急速な悪化」と危機感を強めている。
こうしたなか、限られた仕事を分け合うことで失業を防ぐワークシェアリングの導入は喫緊の課題ともいえる。日本経団連の御手洗冨士夫会長が年初に「一つの選択肢」としたが、
経営者の間には「雇用維持のために賃金を下げて働くという基本的発想がなく、議論も未熟」(岡村正・日本商工会議所会頭)などと慎重論も根強い。一方、労働側も「賃下げや雇用調整を進めようとする経営者の口実」(幹部)などと警戒、「働き方」の根本を変えることにもなりうるだけに、議論はかみ合わないままだ。
政府は「ワークシェアリングは労使間で議論を深める必要がある」(舛添要一厚生労働相)と事態の推移を見守ってきた。
しかし、連合の古賀伸明事務局長が「政労使を巻き込んだ議論が必要」と訴えていたほか、与党内からも、雇用維持に向けた取り組みが「喫緊の課題」であることや、派遣労働者の大量失職が、平成16年の労働者派遣法改正による製造業派遣の解禁という国策に起因することから「政府の積極的関与が必要」との声が出ていた。
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