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2009年02月01日(日) 00時58分

国籍超えて助け合い コリアボランティア協会が活動15年産経新聞

 障害者や阪神大震災(平成7年)の被災者の生活支援に取り組んむ大阪市生野区の「コリアボランティア協会」が、設立から15周年を迎えた。資金難や国籍への差別に苦しみながら、民間からのカンパを頼りに途切れることなく続く草の根の活動。現在会員は全国に広がり、今も助け合い精神の輪を広げている。

 同協会は15年前のこの日、書道家の康秀峰(カンスボン)さんを代表に、鄭炳熏(チョンビョンフン)代表代理(57)ら専従スタッフ4人でスタート。在日コリアンが中心になり、「民族・国籍・ハンディを越えて」をモットーに、食事や入浴の介護や障害者の自立支援、悩みを抱える人の相談相手など地道な活動を続けてきた。

 震災で鄭さんも西宮市内の自宅を失った。その直後から被災地でスタッフとともに泊まり込み、炊き出しや物資の配布に取り組んだ。全国の子供たちから募った励ましの手紙を被災した高齢者に届け、話し相手や外出の手助けもした。神戸市長田区内の復興住宅では今も毎月交流会を開き、1人暮らしの高齢者を励まし続けている。

 しかし活動は順風満帆ではなかった。設立当初は日本人からの国籍差別のほかに、在日同胞からも「なぜ日本社会に奉仕するのか」と冷たい視線を受けた。また震災の時には「よそから遊びに来てるんとちゃうんか!」と声を荒らげられたことも。それでも鄭さんは、戦場のような被災地で、国籍を越えた助け合いの心が広がったと振り返る。震災後は活動への理解が広がり、今では全国で約9500の会員を数える。

 一方で、現在は資金難が深刻。全国からカンパは寄せられているが、スタッフの持ち出しなくしては活動はままならず、家賃負担ものしかかる。

 それでも鄭さんは「協会がつぶれるかどうかなんて心配している場合じゃない。景気悪化で困窮する人が増えるほど活動は重要になる。あらゆる人間関係が希薄になっている今こそ、助け合いの心が大切ですから」と話す。カンパは郵便振替(00920・6・29408、コリアボランティア協会)で。問い合わせは同協会((電)06・6717・7301)。

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