日航(JAL)が、20年にわたって手掛けてきた「客室乗務員カレンダー」の制作を今年限りで打ち切ることが31日、分かった。元大相撲横綱・3代目若乃花の花田勝さん(38)の夫人だった美恵子さん(39)も登場した人気と伝統の逸品だが、景気悪化を受けた経費節減の一環でジ・エンド。ファンからは「あこがれの客室乗務員に会えなくなる」と惜しむ声が聞こえてきそうだ。
20年の歴史に終止符を打つことが決まった日航の客室乗務員カレンダーは、バブル景気真っただ中の1989年に「スチュワーデスカレンダー」として登場。現役の女性客室乗務員から自薦と他薦で候補者をノミネートし、面接などを行って毎年約20人の「JALの顔」を決定してきた。撮影は篠山紀信氏ら写真界の大御所が担当。男女雇用機会均等法の流れで「スチュワーデス」という呼び方を問題視する向きも増えたことから、99年には「キャビンアテンダントカレンダー」と名称を変えている。
壁掛け型と卓上型の2種類があり、毎年暮れになると株主優待商品として配布されたほか、一般書店などでも広く販売された。飛行機マニアやスッチーフリーク以外の層からも支持を集め、ピーク時の93年には壁掛け型カレンダーで約10万部が売れるヒット商品に。例年、800種類ものカレンダーを取り扱う紀伊國屋書店新宿南店の担当者も「毎年売れていた印象があります。スケジュールを書き込む用途で使われていたお客様もいらっしゃったようですね」と人気を説明する。初期のものになるとネットオークションで1万円近くのプレミアが付くこともあったという。
数々の空の美女たちが20年の歴史を彩ってきたが、中でも有名なのは94年版6月に登場した花田(旧姓・栗尾)美恵子さんだ。ちょうど大関・若ノ花(現・花田勝さん)との交際が明らかになった時期に発売されたため、大きな話題となった。
しかし、販売部数は景気悪化や時代の流れとともに徐々に減り、09年版は半分の約5万部まで減少。02、03年版の撮影を行った写真家の立木義浩さんは「撮影当時、世間にはまだ客室乗務員へのあこがれが強かった。時代の流れを感じます」と話している。
運航便を休止したり減便するなど、厳しい経営選択が迫られている日航は、人件費削減のために一時休職者の募集を開始したばかりだった。
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