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2009年02月01日(日) 23時58分

自民党「政界再編」「新党」の動き急減退産経新聞

 自民党内で一時盛り上がった「新党結成」「政界再編」の動きが減退気味だ。政界再編を声高に唱えていた中川秀直元幹事長も「党内改革路線」に大きくカジを切った。麻生太郎首相を看板にしたままでは衆院選を戦えないという声は根強い。しかし、総選挙に向けた国会での民主党の攻勢や、地元での対立候補の活発な動きを前にして、「党内でゴタゴタを演じている余裕もない」という危機感が広がり、首相に批判的な勢力も旗を掲げきれないのが実情だ。(加納宏幸)

 中川氏は1日、地元・広島県東広島市内で「小選挙区制では第3極はあり得ず、数合わせのための政界再編や選挙のための新党では危機は乗り越えられない。国民に期待される新しい自民党にする努力を、グループ(町村派)の同志たちとしていく」と語った。

 自民、民主両党の改革派結集による政界再編を主張してきた中川氏は1月、平成21年度税制改正法案の付則に消費税の増税時期を書き込むかをめぐる党内論争で、強硬な反対論を唱え、時期が明記された場合の造反を示唆するまでに発言をエスカレートさせていた。

 中堅・若手とともに麻生首相を突き上げたが反発を呼び、足元の町村派内では、森喜朗、安倍晋三両元首相が中川氏、町村信孝前官房長官ら3人の代表世話人による集団指導体制を見直し、中川氏を排除する動きが活発になった。

 「政策を語るのはいいが首相批判と思われる。代表世話人ならTPOをわきまえろ」

 森氏は1月29日、派内の亀裂を心配して仲介に入った議員に不満をぶちまけた。森氏は政界再編を主張した中川氏に強い不満があるが、「私は代表世話人制を変えろなんて、一言も言っていない」と付け加えるのも忘れなかった。中川氏もこれに呼応した。

 「森先生には若いころからご指導いただき、心から感謝している。私も、微力だが森派、森政権を一生懸命、支えてきた。無心の境地で国家国民のため働くのが森先生へのご恩返しだ」

 中川氏は1日、地元から中継出演したテレビ朝日番組でこう語った。森氏は週明けの町村派総会で派の指導体制についての考えを示すとみられるが、中川氏は「3人代表体制でいいというのがメンバーの大勢の意見だ。私はその大勢に従う」と語り、代表世話人にとどまる考えを強調した。

 中川氏が「政局の焦点」としてきた消費税増税問題は、実施時期を別の法律で定める「2段階方式」で玉虫決着し、国家公務員が再就職を繰り返す「渡り」斡旋(あつせん)問題も首相が「認めない」と答弁したことで中堅・若手は矛を収めた。一連の騒動は収束した感がある。

 若手の一人は「選挙を考えると渡辺喜美元行政改革担当相のように離党はできない。われわれの主張が取り入れられたのであれば、声を上げ続ける理由はない」と語り、政策を通じた権力闘争の限界を認める。

 こんな自民党をあざ笑うかのように、渡辺氏は1日、都内での街頭演説で「まさに安政の大獄だ。政策提言した中川さんを森さんが弾圧したのは自民党の末期症状。見限ってよかった」と皮肉った。

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