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2009年02月01日(日) 23時14分

暴力団の資金源封じで成果 大阪府警が排除通報を積極活用産経新聞

 暴力団と密接な関係にある業者を公共工事などから排除するよう警察が自治体に通報する制度が、暴力団の「資金源封じ」の手法として成果をあげている。大阪府警は平成20年以降、立て続けに7件の排除通報を出し、組幹部とゴルフや贈答品をやりとりした業者が契約から締め出された。中には業者とのパイプを断ち切られ、資金源を失った暴力団が解散に追い込まれたケースもある。国内最大の指定暴力団、山口組(神戸市)は傘下組織に関係企業との贈答自粛の通達を出すなど影響が広がっている。

 暴力団をめぐる法整備や規制が年々厳しくされる中で、暴力団が資金源として一般の企業をターゲットにしているケースがみられることから、大阪府と府警は18年4月、「府暴力団等排除措置要綱」に基づいて通報制度をスタート。府警が「暴力団と関係が深い」と認定した業者を府に通報し、工事や業務委託などの契約から対象業者を締め出す仕組みをつくった。

 従来、公共工事に限定した排除規定はあったが、大阪のように業務委託を含めた全分野対象の取り組みは当時全国初で、19年以降、府警は大阪市や国土交通省とも連携を始めた。警察庁によると、同様の規定を設けているのは宮城や埼玉、愛知県のほか京都、広島市などに拡大している。

 府警の通報件数は18年2件、19年1件と思うように増えなかったが、20年は6件と急増。21年もすでに1件を通報し、排除対象は計16社に上った。主な理由は、組長とゴルフ▽組長親族への結婚祝い▽組長と温泉旅行に同行−など。今年1月26日には、組事務所へコメ90キロを送っていた大阪市内の業者が通報された。

 府警によると、暴力団側への打撃は大きく、昨年10月に通報された和泉市内の建設会社のケースでは、親交のあった暴力団が同年末に解散に追い込まれた。府警は解散理由として、「会社の資金提供がなくなったことが一因」と分析している。また排除通報された業者は他の自治体でも入札の指名業者から外されたり、銀行融資や取引を停止されたりするなど深刻な影響を受けており、複数の業者が倒産したという。

 資金源の減少に発展する排除通報を山口組も警戒。昨年6月には、暴力団幹部と盆暮れの贈答品をやりとりしていた建設会社が通報を受けたことから、山口組本部から傘下の組に、関係企業との贈答を自粛するよう通達が出されたという。

 府警幹部は「たとえコメ代でも暴力団に流れることは許さない。暴力団と付き合うだけで会社がつぶれるという流れを徹底していく」と話している。

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