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2009年02月01日(日) 15時00分

イラク地方選混乱なく実施 米軍撤退、政策に影響も中国新聞

 【バグダッド31日共同】イラクの地方議会に当たる州評議会選挙が三十一日、全国十八州のうちクルド人自治区三州と治安の混乱で実施を見送った北部の油田地帯キルクーク州を除く十四州で実施され、大規模なテロや攻撃、混乱もなくおおむね無事終了した。一年後の連邦議会選挙を控え、イスラム教シーア派とスンニ派の宗派対立解消に向けた政治勢力図の変化が焦点。オバマ米政権の駐留米軍早期撤退政策にも影響を及ぼす可能性がある。

 投票は当初の予定より一時間延長して午後六時(日本時間二月一日午前零時)に締め切られ、即日開票が始まった。大勢判明には数日を要するとみられている。故フセイン元大統領の故郷、北部ティクリートで同日朝、投票所付近に迫撃弾が着弾したが、負傷者はなかった。

 首都バグダッドで投票したマリキ首相は「イラクの国家建設のためになる選択を有権者に望む」と述べ、積極的な投票を呼び掛けた。

 国際テロ組織アルカイダ系武装組織に対抗するために立ち上げた部族指導者らによる「覚せい評議会」など、二〇〇五年一月の前回選挙をボイコットしたイスラム教スンニ派勢力が、今回初めて本格的に参加。宗派や民族の枠を超えたイラク再建を唱える世俗派の伸長を予測する世論調査結果もある。

 これまでの選挙ではテロ警戒のため、候補者名が公開されず政党や統一会派への投票しかできなかったが、〇七年夏以来の治安改善傾向を反映し、今回初めて候補者名を公表。無所属を含む個人への投票が可能となった。選択の幅を広げ、勢力図に変化をもたらす可能性が指摘されている。

 イラク選挙管理委員会は、選挙妨害を狙う自動車爆弾テロ防止のため、首都バグダッドなどで無許可車両の通行を禁止し厳戒態勢を敷いた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200902010140.html